LDとはLearning Disableの略で、日本語では「学習障害」と言われます。
現在、小・中学校に通う子どもの約5%はLDの傾向があると考えられています。
LDの定義と考え方
LDについて正しく理解するにあたって、LDという言葉の定義を理解しておく必要があります。その上でその子どもに合わせた「適切」な対応をしていく事が重要です。
LD(学習障害)とは
学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す状態を指すものである。
文部科学省HPより
特定の能力のみに生じる困難ではありますが、読み、書きが困難な場合は、論理的思考の学習も並行して遅れることになり、結果的に様々な面において困難が生じる事が多いです。
どうすればいいの?
上記のようにLDを持つ子どもは、一つの能力に関して遅れが生じることから、あらゆる成長を妨げられる事があります。
ただ「他の子どもと同じように」と考えるではなく、正しい知識を持ち、他でもなくその子にとっての最適な教育を目指す事が重要です。
ひとつひとつの考え方を知る事で、LDを持つ子どものより良い成長に役立ててください。
学習を習慣づける
楽しく、やりがいを感じられるようにする
LDの子どもは、頑張ってるのにできるようにならず、周囲からとがめられてしまう事が多々あります。そんな事では、意欲は減る一方です。
LDの子供にまず必要なのは「成功すること」そしてそれを周囲が認めてあげる事です。
褒めて育てる
「子どもは褒めて育てろ」といいますが、LDの子どもの場合にはより細部に目を配り、小さなことでも具体的に褒めるようにしましょう。
成功の喜びが前進する力に変わります。
ポイント
誰が見ても「褒められること」ような結果をだすチャンスは多くありません。なので、周りの大人たちは「失敗」ではなく「小さな成功」を探すことに注力する事が重要になります。
目標は小分けにたくさん
つまずきやすいLDの子どもに成功の手応えを感じさせるには、周囲が子どもの成長に目を配らなくてはなりません。
最終的な高い目標ももちろん必要ですが、すぐに実行できるみじかな目標をたくさん立てて、一つひとつ達成することを意識しましょう。
ポイント
単に「勉強に集中する」というのではなく、「10分間両手を机の上に置いて勉強する」など、具体的かつ簡単な目標を設定する。
悪い習慣を断ち切る
子どもはとても正直です。思っている事、気持ちが行動となって表れます。
行動を改善させるには、その気持ちを理解する事が欠かせません。
問題行動の原因を探る
問題行動を繰り返す子どもに行動だけをやめさせようとしても、子どもがなぜそうするのかにも目を向けない限り、ほとんどうまくいきません。
行動そのものに目を向けるのではなく、子どもの気持ち、思考に目を向ける事で、悪循環を断ち切りましょう。
ポイント
きっかけとなる気持ちに周囲が耳を傾け、受け止めるだけでも問題行動が減る事があります。逆に、子どもの嫌な気持ちを周囲が理解しないと、なかなか改善されません。
なぜそうしてはいけないかを伝える
問題のある子=わからずやと決めつけてはいけません。ただ制止するのではなく、どうすればよいかを教え、正しい行動が取れたら褒めてください。
やめさせるときは具体的に伝える:LDの子どもは、認知のクセがあるために、「この場合どうするべきか」を学習できていない場合があります。状況に応じて、適切な行動を教えましょう。
行動する前にとめる:子どもが行動を起こす前に制止すると、行動する前にブレーキをかける習慣が身につきます。
やめたらすぐに褒める:良い行動パターンを定着させるために、すぐ褒めましょう。特に他人の気をひくためにわざと問題行動をする子どもでは、行動を注意するよりも、ほめる方が効果が上がります。
効果的な教育を
LDの子どもたちは、ある意味鈍感であり、ある意味繊細です。教え方、伝え方ひとつで効果的に学習することもできます。
親・家庭の接し方
家庭は子どもにとって最初の社会です。
親や兄弟との関わり、しつけを通じて様々なことを学びます。
家族で一貫した環境を
LDの子どもは、学校や社会の複雑なルールや習慣に対応するのが困難です。
まずは、家庭が「安心して」社会性を学ぶ場になるわけです。家庭内では「これはやってはいけない」、「これをやったら素晴らしい」という事を、わかりやすい形で示してあげる必要があります。
ポイント
- その時々でいうことを変えない
- 正しいこと、悪いことの方針を統一する
- 家族内でLDについての認識を共有する
「~し過ぎ」をやめる
叱る、褒める、受け止めるなど、子どもに接する姿勢はどれも重要です。しかし、「し過ぎ」になってしまう事が、LDの子どもを持つ親や教師のよくある失敗です。
甘やかし過ぎ:子どもの願いを叶えるためにすべきサポートは、子どものいいなりになることではありません。
かまい過ぎ:子どもが苦手なことについてを貸したり代わりにやってしまうと、自分自身で考える力が育ちません。
放任し過ぎ:「全部好きにやっていいよ」と言われても、何をしていいのかわからない子どもが多いです。その子のレベルにあった条件を与えてあげるのが適切です。
厳し過ぎ:子どもへの期待感が強すぎるあまり、命令や禁止が多くなったり、しかる事が中心になってしまいます。
成長に見合ったサポートを
適切なサポートが子どもの強さを育てます。また、年齢、成長の度合いによって親ができる事、すべきサポートは違います。
幼少期〜低学年
早くに相談する:LDの判断は通常は入学後ですが、LDを合併しやすいAD/HDの子どもでは、幼少時に診断がついているケースもあります。早く気付けば、より早い段階で効果的な支援を行う事が可能です。
子どもとのスキンシップの時間を持つ:しつけや学校の勉強のフォローだけでなく、ふれあいの時間を設けましょう。安心したスキンシップを通して、認知の機能を高める事ができます。
高学年
かまい過ぎず見守る:学校の支度、宿題に直接手を貸すのではなく、子どもが忘れないように工夫するなど、自分でできるようにサポートしましょう。高学年になると学習の内容も高度なものとなるため、親は自分のみで溜め込まず、専属の家庭教師などの協力も考えると良いです。
思春期・青年期
本人がことを特に尊重しましょう。進路選択等が伴うこの時期は、初めて「帰路」に立たされる場面です。
自身の特性を知る機会を与える:本人が自分の力について「疑問」を抱き始める年齢です。自分ができる事、自分ができないことををそれぞれ受け入れること、その上でどうしたら思い描くように生きていけるかの客観的な判断をサポートしましょう。
自身で選択させる:本人の意志を尊重した上で決める事が大事です。その中で、そのこの能力に適切な選択かという客観的な意見を教えてあげる事が重要です。
家庭で勉強をさせすぎない
家庭で身につけたしつけ、良い習慣は社会性、自主性を育て、子どもの強さとなります。
勉強は学校や家庭教師に任せ、家庭だからこそできることに目を向けましょう。
家庭生活で身につけるべきこと
家庭は、自立した生活を身につける場です。家庭ならではの学びに注目しましょう。
・規則正しい生活
時間感覚/自律性を身につける
ゲームをする時間など、好きなことを時計を見ながら自身で管理する習慣をつけましょう。
・手伝い
責任感/義務感/応用力/手順を身につける
家事の手伝いは、子どもにとって初めての「仕事」です。任せられる責任感や、やりきった時の達成感は子どもの成長にとって何より重要です。
・ルール・マナー
社会性/人との付き合い方
あいさつ、返事、お礼は、社会に出ていくためにマストな能力です。家族同士で当たり前のようにこれらができるように徹底しましょう。
まとめ
どれも親の理想のためではなく、子どもにとっての最善を
ここまで、LDの子どもに対しての考え方について紹介してきました。
これはLDを持つ子どもに限らずですが、親が「こうなってほしい」とそれを押し付けることは、子どもの為ではなく自分のためのことです。
誰のためにすることなのか、そのためにどのように関わればいいか。そう考えるきっかけになることを願っています。