なぜ子どもは勉強をしないのでしょう?
その理由は「人によって様々」です。
勉強しないという悩みを解決するためには、まず「勉強しない原因」をつきとめ、原因にあわせて対処していくことが大切です。
本記事では、子どもの勉強で悩みをかかえるお母さんに向けて、勉強しない理由とタイプ別の解決策を紹介します。

お母さんの悩み

「宿題は終わったの?」
「いつまでゲームしてるの?」
「早く勉強しなさい!」…

言うことを聞いてくれないと疲れますよね…

【理由】なぜ勉強しないのか?

とある研究で「なぜ勉強しないのか」について調査したものがありました。
調査対象は、都内の中学生 208人。※筑波大学の研究

中学生における学習回避動機の分類:「勉強しない理由」とは

1位:努力の回避

  • めんどくさいから
  • やる気がでないから
  • その時の気分でやりたくないから
  • 楽なことをしていたいから
  • 部活で疲れているから
  • 集中して勉強すると疲れるから

2位:他のことに関心・誘惑

  • 他にやりたいことがあるから

3位:課題の性質

  • つまらないから
  • 嫌だなと思うから
  • 教科が多く、範囲も広いから

4位:能力の欠如

  • 問題が難しいから
  • 宿題が出ていることを忘れるから
  • やってもできないから
  • 集中力がないから

5位:勉強の価値を理解していない

  • 勉強しても役に立たないと思うから
  • 勉強する理由が分からないから

6位:多忙

  • 勉強以外で忙しいから

7位:統制への反発

  • やろうと思っているときに親がやれやれうるさいから

8位:学習法の不明

  • 宿題や勉強のやり方がわからない

9位:優秀さ

  • 学校でやっても間に合うから
  • やらなくても分かるから

10位:心的飽和

  • 飽きてしまうから

11位:その他

  • つまらないから
  • 勉強する環境が整っていないから
  • できる人と比べられるから

【解決策】お子さんはどのタイプ?

とにかく勉強しないタイプ

お母さん:テスト近いけど、勉強しないの?
お子さん:つまらない、めんどくさい、やる気がでない…

勉強への「自信」を失っている

勉強ギライな子の口ぐせは、「どうせ、僕/私には…」。学校で勉強する中で、周りとの点数の差が、自分の学習能力への自信を奪ってしまいます。勉強ギライな多くの子にとって、一度、勉強を苦手としてしまうと、「頑張ってもどうせ自分には無理」だと思い込み、勉強する気力すらわいてこないのです。

つまづいている所から「戻り学習」

このようなお子さんの場合、一番大切なのは、今の授業についていくことではなく、「つまづいている所」から戻って学習することです。一見すると、時間がかかって遠回りのような気がしますが、つまづいている所を理解せずに勉強しても、頭に入らないため、時間をかけてでも「基本に戻って」勉強しなおす必要があります。

数学の場合、中1の方程式( 2X + 3 = 7 )でつまづいている子がいます。この場合、「分数のかけ算・わり算」「マイナスのかけ算」などから理解できていない子が多いので、必要に応じて、算数の計算から戻って勉強していくのもいいかもしれません。

大切なのは、いきなり難しい問題をできるようにするのではなく、できる問題から始めて、勉強への自信を取り戻してあげるです。定期テストが近いと焦ってしまうかもしませんが、長期的な勉強を考えると、時間をかけてでも「基本に立ち返って」勉強していくことが大切なのです。

小さな成功体験が「大きな自信」につながる

戻り学習をしても、すぐテストの結果につながらないかもしれません。しかし、長期的に考えると、お子さんが自信を取り戻し、自分で勉強に取り組めることが大切です。ですから、たとえ時間をかけてでも、理解していない所に立ち返り「できるところから」勉強することが大切なのです。たとえ簡単な問題でも、自分にもできるという「成功体験」がお子さんの自信を取り戻し「大きな自信」へつながります。

ここがポイント

勉強をしない・勉強が嫌いなタイプのお子さんは、勉強への自信を失っています。まずはできるところから始め、自信を取り戻し「やる気」を引き出すことが肝心です。

言うことを聞かないタイプ

お母さん:さっきからゲームばかりだけど、勉強はしないの?
お子さん:うるさい、今やろうとしてたのに!…

思春期は「親の言うことを聞かない」

子供は、年齢が上がるにつれ以下のように変化していきます。

  • 10歳以前 → 親の言うことを素直に聞く
  • 10~15歳 → 親の言うことに疑問をいだく
  • 15歳以降 → 親の言うことに反抗する
ここがポイント

10歳までの子どもは、親がしっかりと伝えるメッセージをそのまま学習します。ところが、10~15歳(思春期)になると、物事を相対化できるようになり、「親の言うことを聞くとろくな目に合わない」と学習するようになります。さらに、15歳をすぎると「親は敵だ」「親の言うことには反抗する」ようになります。むしろ反抗するほうが発達上健全なのです。

お母さんが勉強しなさいと言って、素直に勉強するお子さんは、ものすごく稀です。それは、発達上ごく自然なことでもあります。むしろ、反抗しないほうが、ゆくゆく恐いものです。

「第3者」の言うことなら聞いてくれる

どうしてもお母さんの言うことを聞いてくれないのであれば、お父さんから言ってもらう。しかし、それでもダメならば、親以外の第3者にお願いする必要があります。同じことでも、親ではなく塾の先生や家庭教師の先生から言われると「お子さんに響く」ことがあります。「何を言うのかではなく、誰が言うのか」の視点でお子さまの学習状況を改善していくことをお勧めします。

ここがポイント

いうことを聞かない・反抗するタイプのお子さんは、思春期の成長過程にあります。物事を相対的に判断できるようになり、親の言うことに反発しやすいため、第3者から説得することが肝心です。

理屈っぽいタイプ

お母さん:なんで勉強しないの?
お子さん:勉強する意味がわからない、勉強して将来役に立つの?

現実から逃げている「言い訳」

このタイプのお子さんは、ちょっとしたことで勉強につまづき、自信を失っている可能性があります。学年が上がるにつれ授業についていけなくなり、周りとの差を感じ、勉強することが嫌になっています。

理屈で説明しても響かない

どれだけ理屈で説明してもおそらく響きません。なぜなら、勉強しない理由が、ただの言い訳だからです。本当の理由は、ただ授業についていけずに「勉強が面白くない」と感じているだけなのです。

できるようになれば、理屈は後からついてくる

そんなお子さんには、理屈を一旦抜きにして、簡単な問題をたくさん解かせ「できる経験」を積ませることです。「できる経験」をたくさんつむことで次第に「やる気」が芽生え、勉強を楽しいと感じていきます。

ここがポイント

理屈っぽいタイプのお子さんは、勉強しないための理由をさがし現実から逃げています。お子さんへの接し方で重要なのは、理屈で説得するのではなく、勉強は楽しいものだと体感させ納得させることです。

無気力なタイプ

お母さん:勉強しないの?
お子さん:めんどくさい…

「勉強以外」で悩んでいる

このタイプのお子さんは、勉強以外で悩んでいる可能性があります。学校での友人関係、部活のこと、家族関係など。思春期である中学生は、何かと多感です。大人の私たちには気にならないことでも、周りとの少しの違いが、不安につながります。特に、友人関係の悩みは、近くにいる親だからこそ相談しづらいものです。

子どもが「相談しやすい人」を見つける

悩みは、一人で抱え込まず、誰かに話すだけで楽になり、解決することがあります。もし、お母さんから見て子供が勉強以外のことで悩んでいるのであれば、お子さんが相談しやすいような人を見つけることをお勧めします。何か不安を抱えているのであれば、味方がいることで安心し、不安の種も改善される可能性があります。

ここがポイント

無気力なタイプのお子さんは、勉強以外のことで悩みを抱えています。思春期の中学生にとってお母さんには相談できない場合もあります。そんなときは、家庭教師などお子さんが「相談しやすい人」を見つけることも一つの手段です。

まとめ

子どもが勉強しないのには、必ず理由があります。
ですから、もし子どもが勉強をしないようでしたら、まずはなぜ勉強しないのか原因をつきとめ、それ合わせて対処していきましょう。
もしかしたら、友人関係などで悩んでいるかもしれません。
子どもが勉強しない時は、何かのSOSだと思い、お子さんをじっと観察してみることが大切です。

(参考)
喜多徹人(2008),『あなたの子どもはなぜ勉強しないのか』,学びリンク
木下晴弘(2014),『子どもが「心から」勉強好きになる方法』,PHP研究所