子どもは、お母さんを見て成長します。それは、良い面も悪い面も含めて。

ですから、子どもに「こうなって欲しい」という思いがあるのでしたら、お母さん自身が、その姿を見せることが大切なのです。

ドロシー・ロー・ノルトの有名な詩があります。

「 子は親の鏡 」

けなされて育つと、子どもは、人をけなすようになる

とげとげした家庭で育つと、子どもは、乱暴になる

不安な気持ちで育てると、子どもも不安になる

「かわいそうな子だ』と言って育てると、子どもは、みじめな気持ちになる

子どもを馬鹿にすると、引っ込みじあんな子になる

親が他人を羨んでばかりいると、子どもも人を羨むようになる

(一部抜粋)

※ 補足:ドロシー・ロー・ノルト

子どもが育つ魔法の言葉』の著者。世界22か国で愛読され、日本でも120万部を超えるベストセラー作家。

子どもに完璧な姿を見せる必要はありません。思いやりを持って、ありのままの姿を見せてあげれば、子どもは自然と学んでいきます。

子育ての基本とは?

「親の背中を見て成長する」は科学的に正しい

子どもは親の言うことを聞かないものですが、親の行動は無意識にマネをしています。

脳科学では、脳と脳が向き合ったとき、互いの脳は同じような活動をしたがることが分かっています。

たとえば「あなたの目の前の人が手を回していれば、それを見ているだけで、あなたの脳でも自分が手を回しているときと同じようなニューロン(脳細胞)が出現します。

このような脳のメカニズムを「ミラーニューロン」といいます。

※ 補足:ミラーニューロンとは?

目の前にいる人の動作や意図、感情までも映しとる脳細胞(ミラー=鏡、ニューロン=脳細胞)

言葉ではダメ、手本を見せる

上述のとおり、子どもはお母さんの姿をよく見て、マネをします。それは、脳科学的にも必然的な出来事です。

ですから、子どもに「してほしい行動」「なってほしい姿」があるならば、口で説明するのではなく、お母さん自身が手本を見せてあげる必要があります。

たとえば、「モノを大切にする子になってほしければ、お母さんがモノを大切にする」「やさしい子に育ってほしければ、お母さんが人を思いやり、悪口を言わない」など。

お母さんが、子どもに求める姿を手本として見せてあげれば、子どもは自然とマネをして、お母さんが望む子へと成長していきます。

家族の愛情が子どもを育てる

どんな子どもでも、いじめやからかいの対象になる可能性があります。

そんなとき、親がいつでも守ってはやれません。けれど、家庭がくつろぎの場であり、心からほっとできる場所であれば、子どもはそれだけで救われます。

そして、親自身が、人の弱さや欠点を受け入れられる心の広い人であれば、家庭は、子どもが心から安らげる温かい場所になるでしょう。

たとえ失敗しても許してもらえるのだおいう安心感があれば、子どもの心は明るくなるものです。

注意すべき4つの言動

(1)叱ってばかりでは「自分は悪い子」だと思ってしまう

悪いことをした時に叱ることは、大切なことです。しかし、必要以上に叱ってはいません。

なぜなら、子どもを責め、厳しく叱りすぎると、子どもは自信をうしない、自分をダな人間だと思うようになってしまうからです。

ですから、子どもが過ちを犯したら、なぜそんなことをしてしまったのか「自分の行為を恥じさせ、反省」させることが大切です。叱り過ぎず、子どもを励ましながら、反省をうながしましょう。

(2)子どもを馬鹿にすると「引っ込みじあん」になる

幼い子どもは、人に馬鹿にされると、どうしたらよいか分からなくなってしまいます。言われた相手に言い返せば、さらに馬鹿にされ、黙ってしまえばプライドが傷つくというジレンマに陥ってしまうのです。

すると、おどおどし、なるべく目立たないように影に隠れるようになります。「人から馬鹿にされたらどうしよう」と、怖気づいてしまうのです。

ですから、もし子どもにいつもと違った様子が見られれば、子どもの話を真剣に聞いてあげ、手を差し伸べてあげましょう。そして、人を思いやることを教えてあげるのです。

人の気持ちに敏感になれば、やさしい人に成長します。

(3)かわいそうな子だと言って育てると「みじめな気持ち」になる

子どものことを「かわいそうだ」と言ったり、お母さん自身が自分のことをみじめに思っていると、子どももその通りだと思ってしまいます。

すると、子どもは何事にたいしても消極的になり、自分は何をしてもダメなんだと思い込むようになってしまいます。

お母さんが完璧になる必要はないので、仕事などで大変な時でも、くじけず立ち向かう姿を子どもに見せてあげれば、子どもはその背中から学びます。

(4)不安な気持ちで育てると「子どもも不安な気持ち」になる

お母さんの心配性は気づかぬうちに子どもにも伝染します。

「どうしよう…」「困ったな…」などの言葉をよく口にしますが、こうした言葉は、子どもの心をとても暗くします。

だめだ、だめだ、と思っていると、本当にだめになってしまうのです。

子育ての5つのコツ【タイプ別】

(1)明るい子に育てるには?

子どもは、親にほめられることで「明るい子」に育ちます。

子どもが大人になり、さまざまな困難にぶつかったとき、子どものころに親にほめられたことが心のつよい支えになります。子どもは、親の言葉を一生忘れないのです。

そして、子どもは、自分をほめてくれる親を見て育つことで、友だちとの関係でも、相手の良い所を認めて仲良くなることの大切さを学びます。

そうすることで、子どもは、相手の長所を認められる「明るい子」に育つのです。

(2)自分が好きになる子に育てるには?

親が認めてあげれば、子どもは「自分が好き」になります。

親が子どもの長所を見つけ出し、それをほめれば、子どもは肯定的な自己像を形成していくことができます。子どもは、良いところをほめられるほど、良い子になろうと頑張るのです。

こうして、子どもの自尊心が育っていくと、自分が自分を好きであるという肯定的な自己像をきずいていくことができるのです。

(3)思いやりのある子に育てるには?

分かちあうことを教えれば、子どもは「思いやり」を学びます。

親自身が、人に対して、分かちあう心をもって接すれば、子どもは親の姿から「思いやり」を学ぶものです。つまり、分かち合う心は、言葉で教えるのではなく、親が態度で示すことが大切なのです。

※ 補足:2歳半くらいから「思いやり」を学び始める

幼い子どもが、最初におぼえるあそびを「平行遊び」と呼びます。これは、相手と横に並ぶあそびの形です。ただし、相手がいることで楽しいとは感じていても、二人の間にあまり交流はありません。それから、だいたい2歳半くらいになると、本当の意味で二人であそぶことができるようになります。この時点で、子どもは社会性を身につけはじめ、他人と分かち合う心を育んでいきます。

(4)つよい子に育てるには?

どんなことがあっても、親が味方でいてくれれば、子どもは「つよい子」に育ちます。

つよさとは、自分を信じる力です。

子どもは、成長するにつれ、さまざまな挑戦をします。そのとき、目標が高いほど、失敗することもあります。

しかし、そんな時こそ、私たちは、自分を信じ、頑張らなくてはいけません。もし、自分を信じて決断することができなければ、人にふりまわされるよわい子になってしまうからです。

ですから、心の支えである親が、どんなことがあっても味方でいてくれれば、子どもは、大人になってからも、つよく生きていけるのです。

(5)努力の大切さを教えるには?

子どもの前で、お母さんが頑張る姿を見せるだけで、子どもは、努力することを学びます。

■ 赤ちゃんをA・Bのグループに分け、次の実験を行いました。(マサチューセッツ工科大学)

A 赤ちゃんに頑張る姿を見せる(箱からおもちゃを取り出すのに30秒かける様子×2回)

B 赤ちゃんに簡単におこなう姿を見せる(箱からおもちゃを取り出すのに10秒しかかからない様子×6回)

▶ この条件で、赤ちゃんに「がんばって押すと音が出るおもちゃ」を渡しました。

【結果】がんばる姿をみたAグループの赤ちゃんは、簡単に行う姿を見たBグループの赤ちゃんより「音をだす回数が2倍おおかった」のです。つまり、子どもの前でがんばっている姿を見せることで、努力する心を育てることができるのです。

さいごに

子どもは親の鏡。

これは科学的に見ても、とても正しいことです。

ですから、子どもに「こうなって欲しい」という願いがあるなら、まずはお母さん自身が、その姿を見せてあげましょう。

大切なのは、完璧なお母さんを演じることではなく、思いやりをもって、ありのままの姿でがんばること。

そんなお母さんの姿から、子どもは様々なことを学び、成長していくものです。

(参考)

篠原菊紀(2014),『子どもが勉強好きになる子育て』,フォレスト出版

ドロシー・ロー・ノルト=レイチャル・ハリス(1999),『子どもが育つ魔法の言葉』,PHP研究所

山崎房一(1991),『ガミガミをやめれば子どもは伸びる』,PHP研究所