「ゲーム障害」をはじめて耳にする方が多いのではないでしょうか。
突然ですが、もし、お子さんがゲームをやめられない状態なら、それは「ゲーム障害」かもしれません。
「ゲームのやり過ぎって病気なの?」と思われるかもしれませんが、世界保健機関(WHO)によって、すでに正式な疾病として認定されています。
本記事では、そんなゲーム障害の症状や克服法について解説していきます。
ただの「ゲームのやり過ぎ」と軽く考えず、お子さんの健康を踏まえ、適切にケアしていきましょう。
「ゲーム障害」って病気なの?
世界保健機関(WHO)は、2019年5月、ゲームのやり過ぎで日常生活に支障をきたす「ゲーム障害」を国際疾病として認定しました。
スマホやタブレットの普及によりゲーム依存の問題が深刻化し、健康を害する懸念が高まってきています。
ゲーム障害「4つの症状」
- ゲーム時間や頻度をコントロールできない
- 日常生活でゲームが最優先
- ゲームによって問題が起きていてもやめられない
- 学校や仕事、健康に支障をきたしている
これら3つの状態が 12か月以上 つづくと、ゲーム障害と診断される可能性があります。
ただし、小中学生では、短期間で重症化しやすいため、兆候が見られれば、早期に対処する必要があります。
海外では死亡した事例も…
過去には、ゲームのやり過ぎによって死亡した事例もあります。
- 韓国(2002年)、インターネットカフェで24歳の男性が86時間オンラインゲームをつづけ死亡。
- 韓国(2005年)、1年間で10名がゲームが原因で死亡。
- インド、16歳の少年が6時間ぶっ通しでゲームをつづけ死亡。
- 長時間のゲームをして死亡した例の多くは、長時間同じ態勢でゲームをし続けることにより血栓が発生するエコノミークラス症候群が原因です。
ゲーム依存=麻薬中毒者と同じ異変
中国で行われた研究によると、ゲーム依存の若者の脳では、麻薬中毒者の脳に起きているのと同じことが起きていることが分かっています。
中国科学大学、レイハオ教授らは、インターネット依存(インターネット・ゲーム依存)の若者18名とそうではない若者17名を対象に、脳の画像解析を行った。
結果は、インターネット依存の若者の脳は、健常者に比べて、眼窩前頭葉、前帯状回、外包、脳梁などの大脳白質で、神経ネットワークの統合性の低下が認められた。同じような状態が、コカインや大麻、覚醒剤、ヘロインなどの麻薬中毒の患者で認められていることが報告されている。
岡田尊司(2014),『インターネット・ゲーム依存症』,文藝春秋
どうしてもやめられなければ「病院へ」
ゲーム障害に気づいたら、まずはゲームをやめたり、ゲーム時間を減らすように注意することが大切。
それでもやめれない場合は、ゲーム障害の可能性がありますから、治療をうける必要があります。ゲーム障害の治療は、下記の4つがあります。
- 診察
- カウンセリング
- デイケア
- 入院療法
基本的には、通院で診察し、カウンセリングやデイケアを受けます。しかし、これら治療でうまくいかない場合は、入院療法となります。
ゲーム障害「5つの克服法」
ルールを決める
ゲームは依存性が高く、一人でルールを守ることは困難です。
ですから、保護者の方が一緒にルールをつると良いです。
たとえば、
- 1日につき1時間まで
- 自分の部屋ではしていけない
- ルールを守れなかったら1週間ゲーム禁止
このようなルールを親がつくり、子どもが守っているかをしっかりと管理してあげることが大切です。
場所を決める
自分の部屋にゲームを持ち込むと、よる遅くまでゲームをする可能性があります。
ですから、ゲームをしていいのは「リビング」だけなど、場所を決めてあげることが大切です。
課金の上限を決める
お母さんのスマホを使ってゲームをしている場合、子どもが勝手に課金していたというケースがあります。
高額な場合だと、1ヶ月およそ50万円課金したというケースも。小さな子どもだと金銭感覚がなく、悪気はあったとしても、つい課金をしてしまうようです。
ゲーム障害への懸念だけでなく、金銭トラブルを回避するためにも、保護者の方が、課金の上限を決め、しっかり管理していくことが重要です。
運動、別の趣味をつくる
読書やランニング、公園で遊ぶなど。なんでもいいので、ゲーム以外の趣味をつくることで、ゲームと距離をおきましょう。
とくに体を動かすことは脳のリフレッシュ効果もあるので、定期的に運動することが大切です。
家族や友人との時間をつくる
ゲームに没頭すると、自分一人の世界にのめりこんでしまいます。
すると、家族や友人と過ごす時間がへり、よりいっそうゲームの世界に没入してしまいます。
ですから、ゲーム時間を制限し、土日は家族や友人と遊びに出かけたりするなど、お子さんを一人だけにしないことが大切です。
ゲーム障害のまとめ
ゲーム障害は、WTOによって「病気」と認定されています。
ただのゲームのやり過ぎとあまく捉えるのではなく、ゲーム障害の兆候があれば、早期にケアしてあげることが重要です。
もしお子さんに「ゲーム時間や頻度を自分でコントロールできない」「日常生活でゲームが最優先」「学校や健康に支障をきたしている」などの症状があれば、以下の対策をたてましょう。
- ルールを決める
- 場所を決める
- 課金の上限を決める
- 運動、別の趣味をつくる
- 家族や友人との時間をつくる
とくに小さなお子さんの場合、ゲーム依存に陥りやすく、短期間でゲーム障害になりますから、保護者の方がしっかり管理してることが肝心です。
(参考)
岡田尊司(2014),『インターネット・ゲーム依存症』,文藝春秋
日本経済新聞(2019),『ゲーム依存は病気 WHO、国際疾病の新基準』
NHK健康ch,『やめられない怖い依存症!脳に異常が起きるゲーム障害の症状、治療法」』