子どもがなかなか勉強しない時、「ご褒美をあげるから勉強しなさい」と言うことがありますよね。
そもそも「ご褒美で勉強させるべきなの?」、「おすすめのご褒美は?」と言った親御さまの疑問を解消すべく、分かりやすく解説していきます。
ご褒美をあげるべき?
人間は、目先の利益を満足させる…
人間には、目先の利益を優先してしまう性質があります。これは科学的にも言われていることです。
たとえば「勉強しておけば、将来の役に立つ」と分かっていても、手元にあるスマホばかりいじってしまう、「毎日、10キロ走ればヤセられる」と知りつつも、「休みたいから明日からでいいや…」など。
このような「目先の利益や満足をつい優先してしまう」という性質があるために、目の前の誘惑に勝てないのです。
補足:なぜ「目先の利益」を求めてしまうの?
人間は、「今」と「将来」を比べると、今目の前にある利益や満足を優先しがちな「選好」を持っており、経済学の用語では「時間割引率が高い」言います。
「ご褒美」を目先の利益にすればOK
「目先の利益や満足を優先させる」ということは、裏を返せば、「目の前にご褒美があれば、今、勉強することの利益や満足がたかまり、それを優先する」ということです。
ですから、子どもにスグにご褒美をあたえれば、今、勉強するように仕向けることができるのです。
正しいご褒美のあげ方とは?
「インプット」にご褒美をあげる◎
インプットにご褒美をあげると、「本を読んだり」「宿題をする」ようにはなるものの、必ずしも成績が上がるとは言えません。
しかし、ハーバード大学で行われた実験では、「インプットにご褒美を与えると、成績があがる」という結果が出たのです。
補足:インプットとは?
知識などをつめこむこと。例えば「本を読む」「宿題をする」など。⇔ アウトプットとは、成果物や結果のこと。例えば「学力テストや通知表の成績をあげる」など。
■ハーバード大学『ご褒美実験』
(A) インプットに対してご褒美
例:本を1冊読んで、内容を問う短いテストに正答できれば200円。
(B) アウトプットに対してご褒美
例:前回よりも点数が上がれば、テストごとに2,500円。
▶この2つの条件で、学力テストを実施。
【結果】
インプットにご褒美を与えられた子どもたちの学力が上昇し、アウトプットにご褒美を与えられた子どもたちの学力は、まったく改善しなかった。
「やることが明確」がポイント
インプットは、「本を読む」「宿題をする」など、子どもにとってするべきことが明確です。
一方、アウトプットは、テストの点数が上がったら、というだけで「具体的なやり方」が示されていません。
ゆえに、インプットにご褒美を与えられ子どもの方が、成績が上がったのです。
補足:「テストの点数が上がったらご褒美」ではダメなの?
必ずしもダメなわけではありません。注意すべきは、「どうすれば成績を上げられるのか」という具体的は方法を教え、子どもを導いてあげる必要があることです。大切なのは、すべきことを明確にしてあげることです。
おすすめのご褒美7選
1位:おこづかい
宿題を終わらせたら10円など。年齢によって金額を変えるのも良いです。
補足:ご褒美に「おこづかい」はいいの?
上述の実験のアンケート結果によると、ご褒美にお金を得た子どもたちは、お金を無駄遣いすることなく、きちんと貯蓄し、娯楽や衣服への節約をするなど、堅実なお金の使い方をしていたことが分かっています。(ただし、この実験では、お金のご褒美と一緒に、貯蓄用の銀行口座を作ったり、家計簿をつけるなどの金融教育が同時に行われていました。)
2位:ゲームやテレビ、YouTubeの時間
宿題をしたら「1時間」など。目標の勉強を終わらせたら、あとは自由にゲームをしても良い、もいいかもしれません。
3位:子どもの趣味のモノ
夏休みの宿題をすべて終わらせたら「マンガ」を買ってあげるなど。
4位:自由に使える時間
宿題をやったら「何してもいいよ」など。小さい子どもにはうれしいかもしれません。
5位:部活でつかえる用具
問題集をやったら「新しいスパイク」を買ってあげるなど。
6位:外食に連れていく
春休みの宿題を終わらせたら「好きなお店」につれていってあげるなど。
7位:お菓子
本を1冊読んだら「500円分のお菓子」を買ってあげるなど。手づくりも良いかもしません。
褒め言葉も「ご褒美」
能力ではなく「努力」をほめる◎
コロンビアの実験によると、能力ではなく「努力」をほめられた方が、その後の学力を伸ばしていくことが分かっています。
「あなたは頭がいいわね(=能力)」とほめられると、良い成績を取れたときは「自分には才能があるから」だと思い、悪い成績をとったときは、「自分には才能がないから」だと考える傾向かあります。
一方、「よく頑張ったわね(=努力)」とほめられると、たとえ悪い成績でも「(能力は関係なく)努力が足りないんだ」と考える傾向があります。
■コロンビア大学『ほめ方の実験』
(A) 能力をほめられた子ども
例:良い成績に対して「あなたは頭がいいのね」とほめる。
(B) 努力をほめられた子ども
例:良い成績に対して「がんばったわね」とほめる。
(C) どちらもほめられなかった子ども
▶この3グループの子どもたちに、かなり難しめのIQテストを、3回受けさせた。(回ごとに条件のようにほめる)
【結果】
努力をほめられた子どもは成績を伸ばしたのに対し、努力をほめられた子どもは成績を落としてしまった。
(参考)
中室牧子(2015),『「学力」の経済学』,ディスカヴァー・トゥエンティーワン
勉強&ご褒美のまとめ
人は本能的に目先の利益を求めてしまうので、利益を感じなければ勉強よりもスマホやゲームの誘惑につられてしまします。
そんな時は、お小遣いやゲーム時間など、お子さんが喜ぶご褒美を与えることで、上手く勉強させることができます。
今回の記事では、ご褒美で上手く勉強させるコツやおすすめのご褒美について解説していますので、気になる方は、ぜひチェックしてみてください。