モノがどんどん値上がりする中、教育費は私たち親にとって、重要な関心ごとです。大学受験における塾や予備校の費用は、小学校時代の習い事よりもはるかに大きな負担です。お子さまの夢を応援したい一方で、家計への影響も無視できません。

このコラムでは、実際にかかる大学受験塾の費用目安から、予備校と塾での違い、塾費用を抑える方法まで、保護者の皆さまに役立つ情報をお伝えします。

大学受験塾にかかる費用「予備校と塾」で違う?

大学受験塾を選ぶとき、多くの保護者の方が「塾」と「予備校」の違いに戸惑われます。実は、「大学受験塾」という言葉の中には、学習塾と予備校の両方が含まれているのです。たとえば、「河合塾」は名称に「塾」とついていますが、実際には駿台予備校、東進ハイスクールとともに三大予備校のひとつとして知られています。このように、名称だけでは一概に判断できない場合もあります。

では、一般的な塾と予備校には、どのような違いがあるのでしょうか。

塾と予備校の違いと特徴

予備校の特徴

  • 大学受験に完全特化
  • 経験豊富なプロ講師が在籍
  • 受験情報が豊富
  • 一般的に生徒数が多い
  • 進路相談は専門担当者が対応

予備校は大学受験に特化した指導を行う教育機関です。多くの場合、大規模な教室で行われる授業形式で、受験に向けた体系的なカリキュラムが組まれています。また、受験情報も豊富で、長年の指導実績を持つベテラン講師による授業を受けることができます。

塾の特徴

  • 学校の授業・定期テスト対策もサポート
  • 講師との距離が近く、きめ細かい指導
  • 大学受験対策専用コースもあり
  • 大手塾では予備校並みの受験指導も

一方、塾は学校の授業の補習や定期テスト対策など、より幅広い学習サポートを提供しています。また、少人数制の授業が多く、講師との距離が近いため、個々の生徒の状況に応じたきめ細かい指導を受けることができます。一方で大手塾を中心に予備校に匹敵する大学受験対策コースを設けているところも増えています。

大学受験「塾」「予備校」年間費用の目安

このような特徴の違いは、費用にも反映されています。一般的な年間費用をまとめてみました。予備校にしても塾にしても、地域や規模、通う頻度、コースなどで金額は異なりますので、平均的な費用と考えてください。

高校・学年別「予備校の年間費用」

  • 高1:約30万円~60万円
  • 高2:約50万円~80万円
  • 高3:約80万円~120万円
  • 浪人:約80万円~150万円

高校・学年別「塾の年間費用」

  • 高1:約18万円~36万円
  • 高2:約24万円~48万円
  • 高3:約36万円~72万円
  • 浪人:約60万円~100万円

これらの費用は、あくまでも基本的な授業料の目安です。実際には、模試費用や教材費、個別指導料などの追加費用が発生することも多いため、計画的な資金準備が必要になります。特に高3や浪人生の場合は、志望校対策の特別講座や個別指導など、予想以上に出費が増える可能性があることも覚えておきましょう。

高3「大学受験塾(予備校)」1ヶ月の費用を計算してみた

河合塾の高校3年生向けの月額費用の概算を出してみましょう。GMARCHクラスの大学をめざし、4講座を受講すると仮定してみます。

1. 受験対策講座(対面)

英語、数学、国語、社会または理科系列から必要な4つの講座を受講

たとえば河合塾の場合だと

  • GMARCH英語
  • 私大古文
  • 政治経済

など、さまざまな講座が行われています。このうち4講座を受ける仮定です。

・各講座90分、13講/学期
(1学期4〜7月、2学期9〜12月)

・1講あたり:6,150円


・4講座 × 13講 × 6,150円

= 319,800円/学期(4ヶ月間)

2. 塾生サポート料

7,140円/月

テスト(模試など)費用・在籍データ管理料・システム利用料など。

模試は対象模試・上限回数が定められており、それ以外の模試を受ける場合には別途、費用がかかる。

計算

・学期あたりの授業料:319,800円
(月額に換算:319,800円 ÷ 4ヶ月 = 79,950円/月)

・塾生サポート料:7,140円/月


・合計月額:79,950円+7,140円

= 87,090円

河合塾の高校3年生向けの月額費用は、概算で87,090円となります。実際には、授業講数などにより、もっと複雑な計算になります。

高いなぁ!と思いますが、一般受験をする場合はこれくらいになる人は少なくありません。

たとえば、校舎で学ぶのは1講座にして、タブレット学習を組み合わせるとか、受験対策講座(対面)の授業料は授業講数によるので、受ける回数を減らせば費用を抑えることも可能です。今回は河合塾を例に出しましたが、東進ハイスクールは若干安いものの、映像授業が多いため、一概には比べられないですね。

資料を取り寄せても、まだ費用についてはよくわからないことも多いですよ。

予備校でも塾でも、実際に電話やメール、面談等で問い合わせて、具体的にいくらかかるかをしっかり確認するのが大事!

なお、河合塾は「月払い」が可能ですが、多くの予備校は「一括払い」が一般的です。

参考:学費の仕組み・支払方法(河合塾)

大学受験塾における地域差と志望校による費用の違い

費用は地域によって大きく異なり、都市部と地方では2~3割ほどの差が生じます。また、以下の場合は更に費用が高額になる傾向があります。

  • 医学部志望
  • 難関大学志望
  • 有名予備校の特別コース受講

これらの志望校や専門コースでは、少人数指導や特別カリキュラムが組まれることが多く、それに応じて費用も増加します。医学部志望者向けの特別コースでは、年間200万円を超えるケースも少なくありません。

このように、塾や予備校の選択は、お子さまの学習スタイルや目標、そして家庭の経済状況などを総合的に考慮する必要があります。次に、これらの教育費用に加えて発生する、その他の受験関連費用についてご説明します。

大学受験というと塾や予備校の費用にばかり目がいきがちですが、いろいろと他にもお金がかかります。

もう、ビックリするくらいお金が飛んでいきます……。

大学受験で塾以外にかかる費用とは

塾や予備校の費用以外にも、意外とお金がかかるものが多くあります。主な費用をご紹介します。

・参考書・問題集代

1冊2,000円~3,000円×年間10~20冊程度

・模試受験料

1回3,000円~5,000円×年間5~10回程度

・英検・TOEIC等の検定料

1回5,000円~25,000円

・通塾交通費

月額5,000円~20,000円程度

※模試は塾や予備校によっては授業料に含まれます。

これらに加えて、見落としがちな費用として以下のようなものがあります。

  • 塾での休憩時の軽食代
  • 自習室利用時の食事代
  • 講習期間中の昼食代
  • 文具・ノート代
  • コピー代

塾へ行く日はお弁当を持たせても、高校生ともなると時間帯も遅くなるし長時間になるしで、飲み物代や軽食を買うお金をもたせることも多いです。

帰りがけに友だちとちょっと息抜き、と言われれば、多少のお小遣いをもたせることもあるし……。

500円、1,000円と渡しているうちに、あれ、財布の中身がなんでこんな少ないの!?なんてことが、よくありました(涙)

「まだ続く教育費」を考えて大学受験費用をプランする

ところで、大学受験の塾費用は、教育費全体の一部に過ぎません。将来の支出も見据えた計画が重要です。実は入学後にかかる費用の方が、家計に与える影響は大きいのです。

大学入学時にかかる主な費用

多くの保護者の方が大学入学時の費用負担に不安を感じています。具体的な費用を見ていきましょう。

・国立大学の場合

入学金28万円程度、年間授業料54万円程度

・私立大学の場合

入学金20万円~30万円、年間授業料80万円~150万円程度

・入学時の諸経費

10万円~30万円程度

これらの基本的な費用に加えて、教科書代や実習費、施設設備費など、さまざまな諸経費が必要になります。特に理系学部や芸術系学部では、実験器具や専門機器、制作用具など、想定以上の出費が必要になることもあります。

また、最近は給付型奨学金制度も充実してきていますが、多くの学生は依然として日本学生支援機構などの貸与型奨学金を利用しているのが現状です。貸与型奨学金は実質的な「借り入れ」となり、将来的には返済の必要があります。お子様の将来的な負担も考慮しながら、利用を検討することをお勧めします。

入学後の継続的な費用

・仕送り

月額8万円~12万円程度

・住居費(家賃)

月額4万円~8万円程度

・通学定期代

月額1万円~2万円程度

特に自宅外通学の場合、これらの費用は4年間継続して必要になります。仕送りの金額は、住居費や生活費、そして地域によっても大きく変わってきます。都市部の場合、上記の金額よりもさらに高額になることも珍しくありません。

教育費用の全体像を把握する重要性

実は、多くのご家庭で最も家計の負担が大きくなるのは、大学入学後の時期です。塾や予備校の費用は確かに大きな出費ですが、それは比較的短期間に集中する一時的なものです。一方、大学での教育費は4年間という長期にわたって継続的に発生します。

たとえば、私立大学に自宅外通学する場合、4年間でかかる総額は以下のように試算されます。

・入学金・授業料

400万円~600万円

・住居費

200万円~400万円

・生活費(仕送り)

400万円~600万円

教育費は大学受験期だけでなく、その後も長期にわたって継続します。そのため、受験期の塾や予備校の費用を検討する際は、入学後の費用も含めた長期的な視点で教育費の計画を立てることが重要です。奨学金制度の利用も視野に入れながら、ご家庭の状況に合わせた無理のない資金計画を立てていきましょう。

大学受験の塾が高すぎる!?費用を抑える方法は

というわけで、要するに家庭にとって高校から大学にかけてが、もっとも教育費がかさむ時期!なんとか、少しでも費用を抑えたいですね。

学校の補習や講習を最大限活用

補習や講習は無料または低額で受けられることが多く、基礎固めに適しています。通学している高校のサポートは積極的に利用しましょう。

塾の利用を必要な部分に絞る

全科目ではなく、苦手科目のみを受講したり、主要科目のみに絞り込んだりするなど、必要最小限に抑えることで大幅な節約が可能です。塾も予備校も、たくさんのコースやオプションがあり、勧められるままに受講すると費用がふくれあがります。何を選ぶのがベストか、いったん落ち着いて親子で相談できるといいですね。

オンライン学習の活用

質の高いオンライン講座も増えており、上手に活用することで費用を抑えられます。問題解説などはYouTubeなら無料で見られます。親よりも子どもの方がよく知っていることも多く、すでに見ているかもしれません。

また、英単語アプリなど比較的安価で利用できる教材系アプリもたくさんありますが、必要なもの、継続して使用できるものを選択することが大事です。サブスクリプションの場合が多いので、頼まれて契約したものの、1〜2ヶ月で飽きてしまい、ほとんど使っていないのに毎月課金されている、なんてことも、よくあります。

家庭学習と併用可能な家庭教師の検討

高校生の大学受験勉強では、独学だけでは学習の進め方や時間管理が難しいことがあります。そこで、家庭教師による指導と自宅学習を組み合わせる方法がおすすめです。この方法には次のようなメリットがあります。

まず、学習管理の面で効果的です。たとえば月2回の指導で、家庭教師が学習内容をチェックし、次の学習計画を立ててくれます。これにより、無駄のない効率的な学習が可能になります。

また、苦手科目の克服にも役立ちます。自分では気づかない弱点を見つけ出し、集中的に指導を受けることができます。特に受験勉強では、このような的確な弱点補強が重要です。

費用面では、オンライン家庭教師を利用することでコストを抑えることができます。従来の対面指導と比べて料金が比較的リーズナブルです。予算に応じて、科目や時間数を選択できるのも特徴です。お子さまに必要なことだけをオーダーメイド型で組み合わせて効率よく学べるよう、上手に家庭教師を活用したいですね。

ご家庭の状況や生徒の学習スタイルに合わせて、家庭教師との最適な学習プランを検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

大学受験の塾費用は確かに大きな出費となりますが、子どもの将来のために必要なもの。ただし、「とりあえず高額コースに申し込む」のではなく、お子さまの学習スタイルや家計の状況に合わせて、賢く選択することが大切です。

早めに情報収集を行い、長期的な視点で教育費の計画を立てていきましょう。

編集:オンライン家庭教師GIPS

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