都立高校入試は、近年、入試制度が変化しており、従来の学力検査に加え、思考力・判断力・表現力を重視する傾向が強まっています。

特に注目すべき変更は、英語の「話す力」を評価するスピーキングテスト「ESAT-J」の導入です。

このコラムでは、都立高校入試の基本の基本を総合的に知りたい方のために、都立高校入試の最新動向から、内申点の重要性、私立高校との併願のポイントまで、さまざまな情報をわかりやすく解説していきます。

都立高校入試の最新動向と特徴を知る

近年の都立高校入試は、大きな変化の時期を迎えています。従来の知識を問う試験から、思考力・判断力・表現力を重視する試験へと変わってきており、お子さまの将来を考える保護者の方々にとって、より注目すべき選択肢となっています。

とりわけ注目すべきは、単なる暗記力や計算力だけでなく、学んだ知識を実際に活用する力が重視されるようになったことです。たとえば、国語では長文を読んで自分の考えを述べる問題が増え、数学では日常生活での問題解決力を問う出題が増えています。

都立高校入試「スピーキングテスト」について

都立高校入試では英語の「話す力」を評価するスピーキングテスト「ESAT-J」が、2022年度から実施されています。現在は、1年〜3年まで各学年を対象として、テストが行われています。

出典:中学校英語スピーキングテスト東京都教育委員会

なお、3年時に受ける際にはWEBによる申し込みが必要で、試験会場も1、2年時と違い、在籍する中学以外(都立学校・大学・民間施設等)で実施されます。

出典:中学校英語スピーキングテスト東京都教育委員会

このテストの結果は調査書にA~Fまでの6段階で記載され、合否判定の重要な要素となります。

従来の入試では学力検査700点と調査書点300点を合わせた1000点満点でしたが、このスピーキングテストの導入により、総合得点は1020点満点となりました。すべての得点を合計し、高得点順に合格が決まります。

都立高校入試の種類

入試の方法は大きく分けて二つあります。

(1)一般入試

(2)推薦入試

一般入試

  • 学力検査に基づく選抜
  • 5教科(国語・数学・英語・社会・理科)の学力検査
  • 調査書点(内申点)も考慮
  • 英語スピーキングテスト(ESAT-J)の結果も加算される
  • 2月下旬に実施

推薦入試

  • 一般推薦/文化・スポーツ等特別推薦/理数等の特別推薦がある
  • 学力検査ではなく「適正検査」が行われる
  • 個人面接または集団討論等
  • 作文・小論文・実技検査などから1つ以上を実施
  • 1月下旬に実施

一般入試は、5教科の学力検査と調査書による評価が基本です。推薦入試は、適性検査と面接、調査書による総合評価が行われます。特に推薦入試では、教科の枠を超えた思考力や課題解決能力が問われます。

都立高校入試「適性検査・学力検査」とは

都立高校入試の核となるのが、適性検査と学力検査です。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

都立高校入試の適性検査とは

推薦入試で実施される適性検査は、教科の枠にとらわれない総合的な力を見る試験です。たとえば、グラフや表を読み取り、そこから課題を見つけ出し、解決策を考える問題などが出題されます。この試験では、基礎的な学力を前提としつつ、実践的な能力や将来性を評価することを目的としています。

都立高校入試の学力検査とは

一般入試の学力検査は、国語、数学、英語、理科、社会の5教科でわれます。ここ数年の特徴として、以下のような傾向が見られます。

  • 知識を活用する力を問う問題の増加
  • 実生活に関連した場面設定での出題
  • 複数の資料を関連付けて考える問題の出現
  • 記述式解答の重視

こうした出題傾向の変化は、これからの社会で必要とされる力を意識したものといえます。

また、小論文や記述問題については、特に注意が必要です。単に自分の考えを書けばよいわけではなく、論理的な構成や具体的な根拠を示すことが求められます。日頃から新聞を読んだり、社会の出来事について話し合ったりする習慣をつけることをおすすめします。

なお、学力検査問題を自校で作成する高校もあります。国語・算数・英語の自校作成問題と都立高共通問題(社会・理科)で学力検査を実施するパターンです。令和7年度では、次の都立高が「自校作成問題」を採用しています。

自校作成問題を実施している都立高校

  • 日比谷高校
  • 戸山高校
  • 青山高原
  • 西高校
  • 八王子高校
  • 立川高校
  • 国立高校
  • 新宿高校
  • 墨田川高校
  • 国分寺高校

※年度によって変更があるため、各校の募集要項を確認してください。

都立高校入試の「調査書点(内申点)」の重要性

都立高校入試の調査書点(内申点)とは

都立高校入試において、調査書点(内申点)は合否を大きく左右する重要な要素です。実は、多くの都立高校では内申点が学力検査の得点と同じくらいの比重を占めています。

基本的に内申点は、3年生の評価(9教科/5段階評価)が対象となります。さらに次のような事柄も内申点に影響します。

  • 部活動やボランティアなどの課外活動
  • 学校行事や委員会活動への参加状況
  • 出席状況や学習態度

ここで保護者の方々が気をつけたいのは、内申点は中学1年生の時から積み重ねられていくという点です。つまり、高校受験を意識し始める中学3年生になってからでは、大きく改善することは難しいのです。

子どもたちは中3にもなれば、もちろん高校受験を意識します。

でも入学当初に『高校受験があるからね、だから最初から勉強しないと』と話しても、ピンとこないものです。

しかも、なかなか複雑なお年頃なので、親の話をすんなりとは受け取りません。

中学生にもなると、親が怒る→勉強する、といった構図ではうまくいきません。本人が自覚して「もっと勉強して成績アップをめざそう」と思わないと、親ががんばっても一方通行になりがちです。高校入試の仕組みや今後の受験予測などを話してあげるといいかもしれません。

3年生での評価は、1年生の時から積み上げていく勉強や、日々の活動、意欲によるものだということを、折りに触れ、さりげなく話してあげられるといいですね。

都立高校における内申点の付け方

内申点の付け方は学校によって多少の違いがあります。一般的には以下のような要素が評価されます。

  • 定期テストの成績
  • 提出物の状況
  • 授業態度
  • 学習への取り組み姿勢
  • 小テストやレポートの成績

このため、日々の学習態度や提出物の管理がとても大切になります。

学校の先生との面談の機会には、お子さまの様子や改善点について積極的に相談することをおすすめします。先生方からのアドバイスを得ることで、より具体的、効果的なサポートが可能になります。

都立高校入と私立高校入試「併願のポイント」

都立高校入試の特徴のひとつは、都立高校同士の併願ができないことです。このため、多くの受験生は私立高校との併願を選択します。併願を考える際の重要なポイントを見ていきましょう。

私立高校との併願には、以下のようなメリットがあります。

  • 合格の可能性を広げられる
  • 私立高校の推薦入試に合格した場合の精神的な余裕
  • 学校選択の幅が広がる
  • それぞれの学校の特色を比較検討できる

ただし、併願を考える際は以下の点に注意が必要です。

  • 入試日程の確認(私立高校の入試は都立より早い)
  • 受験料や入学金の準備
  • 各学校の特色や教育方針の違い
  • 通学時間や交通費の検討

特に重要なのが入試日程の管理です。私立高校の推薦入試は多くが1月上旬から中旬に実施されます。この結果が分かってから都立高校の推薦入試(1月下旬)に臨むことができます。

首都圏は私立高校も多く、判断が難しいこともあるでしょう。信頼できる塾、家庭教師といった受験のプロと一緒にプランをたてる、あるいは中学の先生に相談しましょう。

都立高校のトップ校・人気校一覧

高校名地域特徴難易度
日比谷高校千代田区都立御三家、進学実績トップクラス★★★★★
西高校杉並区都立御三家、文武両道★★★★★
国立高校国立市都立御三家、自由な校風★★★★★
戸山高校新宿区進学校、バランスの取れた教育★★★★★
青山高校渋谷区進学重視、英語教育に力を入れる★★★★
立川高校立川市多摩地区トップ校、理数教育に強み★★★★★
八王子東高校八王子市多摩地区トップ校、進学実績良好★★★★
小山台高校品川区進学校、文武両道★★★★
北園高校中野区自由な校風、進学実績良好★★★★
武蔵高校武蔵村山市進学校、部活動も盛ん★★★★
国分寺高校国分寺市進学重視、文化祭が有名★★★
小金井北高校小金井市進学校、部活動も盛ん★★★★
調布北高校調布市進学校、部活動も活発★★★★
墨田川高校墨田区単位制、進学実績良好★★★★

※難易度はあくまで目安です。また年度によって変わります。

都立高校入試まだまだ「親の応援」が必要です!

都立高校入試は、学力検査だけでなく内申点も重視される総合的な選考です。特に近年は、思考力・判断力・表現力を問う問題が増加しており、日々の学習姿勢がより重要になっています。

お子さまの可能性を最大限に引き出すためには、早めの準備と計画的な学習が欠かせません。また、私立高校との併願を視野に入れることで、選択肢を広げることができます。

子どもの成長に伴い、親ができることは少なくなっていくように思えます。それでも、中学生にとって、まだまだ「我が家」はホッとひと息つける場所。そして、高校入試も親の応援と支援が不可欠です。

親子喧嘩が増える時期でもありますが、それもまた、成長の段階として、なるべくおおらかに、ドン!と構えていきたいですね。

参考:都立高等学校/東京都教育委員会

編集:オンライン家庭教師GIPS

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