夜中までスマホを見ていて、なかなか寝ない

宿題も終わってないのに、ダラダラ夜ふかししている

塾から帰ってくるのが遅くて時間がない

こんな悩みをお持ちの保護者の方、とても多いのではないでしょうか?スマートフォンやSNS、オンラインゲームの普及で、子どもたちの生活リズムは大きく変化しています。夜型の生活習慣が定着し、勉強時間の確保が難しくなっているご家庭が増えています。

実は、そんな現代の子育ての悩みを解決する可能性を秘めているのが「朝勉強」です。今回は、朝勉強の効果と、どのように始めればよいのかについて、詳しくお伝えしていきます。

朝勉強がもたらす学力向上効果

最初に朝勉強の効果について、見ていきましょう。朝勉強の効果を知り、親子で納得することが大事です。

1.集中力と思考力の向上

朝は脳が最も効率よく働く「ゴールデンタイム」で、集中力や思考力が高まります。これにより、難しい問題や苦手科目に効果的に取り組めます。

2.効率的な勉強

朝は静かで周囲の雑音があまりなく、スマホや動画視聴の誘惑も少ないので、集中して勉強に取り組めます。また、時間制限がある中で効率的に勉強する習慣が身につきます。

3.勉強の習慣ができる

毎朝決まった時間に起きて勉強することで、コツコツと計画的に勉強を進める習慣が身につきます。これは長期的な受験勉強に不可欠です。

4.記憶の定着

夜に暗記した内容を朝に復習することで、記憶の定着率が高まります。睡眠中に整理された情報を朝に復習することで、効果的に知識を固定化できます。

5.試験本番での実力発揮

入試は朝から始まるため、朝型の生活リズムに慣れておくことで、本番でも集中して実力を発揮しやすくなります。

6.脳の整理された状態での勉強

朝は脳が一番整理された状態にあるため、新しい情報を効率的にインプットできます。

7.登校までの時間

「学校に行く時間」という明確な締め切りがあることで、集中して取り組むことができます。朝の時間帯は、だらだら過ごさずにすむメリットがあります。

朝勉強は記憶力と集中力の向上が期待できる

脳科学者の茂木健一郎氏によると、朝目覚めてから3時間は、脳がもっとも効率よく働くゴールデンタイムとされています。

この「脳が最も活性化する時間帯」を勉強に活用することは、非常に理にかなっています。夜間の勉強と比べると、同じ時間をかけても理解度や記憶の定着率が大きく異なってきます。

いきなり朝から本格的な受験勉強に取り組むのは難しいかもしれません。朝の時間帯は記憶力が高いメリットを活かして、小学生なら社会や理科の暗記モノを行うとか、中学生なら英単語を覚えるといったことから始めてみるといいかもしれません。

朝勉強は親子喧嘩を減らす!?

夜遅くまでの勉強時間を減らすことで、保護者に関しても、こんな効果が期待できます。

  • イライラした叱責が減る
  • 前向きな声かけが増える
  • 信頼関係が深まる
  • 子どもの自主性が育つ

夜遅くまでの勉強時間は、往々にして親子間の緊張関係を生みやすくなります。「まだスマホを見ているの?」「いつまで起きているの?」といった否定的な声かけが増えてしまいやすいですね。本人はそれまで勉強していて、たまたま「ちょっとスマホをのぞいていたのに怒られた」そんなタイミングの悪い出来事もありがちです。

いい加減にしなさいよッ!なんて最後は怒鳴って、互いに嫌な気分で寝ること、我が家でもよくありました……。

朝型の生活習慣に切り替えることで、このような状況を大きく改善することができます。

朝は時間に余裕がないと、どうしても「早くしなさい」「遅れるわよ」ばかりを言うようになり、ついでに「だいたい、遅くまで起きてるから、こういうことになるのよ!」と不毛な会話になりがちです。

子ども自身が自主的に取り組む習慣が身につけば、いくらかは親が怒る回数は減るはずです。

親だって、毎朝、毎晩、怒鳴りたくないのです!

朝に勉強をやるようになると、親も自然と「よく頑張っているね」「今日も早起きできたね」といった、ポジティブな声かけができるようになります。朝、怒らずにすむ、わが子を褒められる、親にとっても非常にいいスタートが切れます。

「でも、朝に勉強するために早起きさせなくてはならないし、そのためには結局、怒鳴りつけないとうまくいかなそう」

そんな声も聞こえてきそうなので、次では、朝勉強を成功させるポイントを紹介しますね。

朝勉強を成功させるポイント

朝勉強は段階的に導入しよう

生活リズムの変更は、急激に行うと続きにくくなります。

朝勉強を始めるコツ

① 15分ずつ起床時間を早める

② 週末から始めてみる

③ 無理のない範囲で少しずつ増やす

④ 季節に合わせて調整する

生活リズムを変えることは、誰にとっても大きなチャレンジです。特に夜型の習慣が定着している場合、一気に朝型に切り替えようとすると、かえってストレスになってしまいます。

大切なのは、子どもの体調や生活パターンに合わせて、無理のない変更を心がけることです。たとえば、まずは週末に普段より15分だけ早く起きることから始めてみましょう。慣れてきたら、さらに15分早めるといった具合です。急激な変更は、かえって続かなくなる原因となります。

また、季節による調整も重要なポイントです。夏場は日の出が早いため自然と早起きしやすくなりますが、冬場は要注意です。季節の変化に合わせて、柔軟に起床時間を調整していくことで、無理なく習慣化を図ることができます。最初は小さな変化から始めて、確実に定着させていくことが、長続きのコツとなります。

モーニングルーティンを作ろう

朝起きてから勉強を始めるまでの「ルーティン」を確立することで、自然と朝勉強へと移行できるようになります。眠い目をこすりながらも、体が自然と動き出すような習慣づけが効果的です。

朝のルーティン例

① 目覚ましで起きる

② 白湯を飲む

③ ベランダや窓際で朝日を浴びる

④ 好みの温かい飲み物を用意しながら勉強の準備をする

ちなみにウチの子は、スティックタイプのインスタントココアが好きで、朝、かならず飲んでいました。

小学生のうちは親が飲み物を準備し、子どもはドリルや筆記用具を持ってくる、中学生になれば電気ケトルを利用してスイッチをいれたら問題集を出してくる、そんな流れ作業になるまで、親子でがんばりたいですね!

夜のルーティンも同様に大切です。就寝時刻の30分前になったら、決まった順序で準備を進めていきます。歯磨きをして、スマホは別室に置き、軽いストレッチをして、短い章に分かれた本を読んでから消灯する、といった具合です。

ポイントは、これらのルーティンを親が一方的に決めるのではなく、子どもと相談しながら決めていくことです。スマホは使わない代わりに好きな音楽を流すなど、子どもがリラックスできる方法を取り入れていくのもおすすめです。心地よい習慣として定着させることで、朝型生活への移行がよりスムーズになります。

夜ふかしの改善には時間がかかるがあきらめないこと!

夜ふかしをする原因を突き止め、それを少しずつ改善するようにしましょう。たとえば、スマホをいじっているのなら、小学生なら夜はスマホを親が預かる、中学生なら10時までと時間を決める、守らないのなら「親がお金を払っているものなんだよ」ときちんと話し合って、年齢にあわせたルール作りをするのがおすすめです。

とにかく今の子ども達はベッドに入ってからも、誰かとつながれる環境にあるので、なかなか難しいのは事実。

でも親が簡単にあきらめないこと!

こうなったら、子どもと根比べですよ。

「成績アップ」「受験」という目標を明確にして、その先のゴールについても折に触れて話し合い、本人が(まずいな、ちょっとはきちんとして勉強もがんばらないとな)と思えるように、根気強く、粘り強く、対応していきましょう。

参考文献:脳を最高に活かせる人の朝時間/茂木健一郎著/河出書房新社

編集:オンライン家庭教師GIPS