文部科学省の方針
令和元年10月25日に「不登校児童生徒への支援の在り方について」という通知が発表されました。一部を抜粋します。
(1)支援の視点
不登校児童生徒への支援は,「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要があること。(後略)
学校に通えることではなく、自立できることに主眼が置かれています。
(2)学校教育の意義・役割
(前略)また,児童生徒の才能や能力に応じて,それぞれの可能性を伸ばせるよう,本人の希望を尊重した上で,場合によっては,教育支援センターや不登校特例校,ICTを活用した学習支援,フリースクール,中学校夜間学級(以下,「夜間中学」という。)での受入れなど,様々な関係機関等を活用し社会的自立への支援を行うこと。その際,フリースクールなどの民間施設やNPO等と積極的に連携し,相互に協力・補完することの意義は大きいこと。
学校以外での教育も大いに意味があるという認識がなされています。
(引用)
「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日:文部科学省
出席扱いになる条件
注意点①:高校生は対象外
出席扱い対象となるのは、義務教育を受ける小学生・中学生のみです。高校生は対象外ですので、注意が必要です。
注意点②:学校に確認が必要
出席扱いの可否は、学校や教育委員会が判断するため、申請すれば必ず出席扱いになるわけではありません。また、すべての学校で制度が適用されるわけではないので、学校に確認・相談しながら利用することが大切です。
7つの要件が必要
出席扱いに認定されるには、7つの要件が必要です。
- 保護者と学校の関係が十分に緊密であること
- 学習活動がITなどを活用することによって提供されていること
- 対面指導が適切に行われること
- 計画的な学習プログラムであり、学習の理解に基づいていること
- 校長が対面指導や学習活動を十分に把握していること
- 学校外の機関や施設で相談や指導ができない場合に行う学習活動であること
- 学習活動の評価は、学校の教育カリキュラムに基づいて判断すること
IT教材(通信教材、映像授業、オンライン学習など)を活用+学校との連携が取れていれば、出席扱いとなる可能性があります。
(参考)
https://www.mext.go.jp/content/1422155_001.pdf
出席扱いまでの流れ
①担任の先生に相談
まずは、お子さんのクラス担任の先生に相談してみましょう。出席扱い制度について詳しくない場合、認定要件などを説明しながら相談する必要があります。
②学校内で協議
担任の先生から校長・教頭に説明してもらい、認定要件について協議してもらいます。校長が最終的な判断をしますが、不可となった場合でも、教育委員会に相談することもできます。必要資料などをそろえ、教育委員会にも相談してみましょう。
③出席扱いとなる条件を話し合う
制度を利用することが決まった場合、具体的にどのように進めていくか相談していきます。利用する学習教材や学校との連携方法を決めていきます。1週間~1ヵ月に1度は登校することを条件とされる場合もあるので、お子さんへの負担も加味しながら相談していきましょう。
④制度の利用開始
取り決めに基づいて、学校と連携しながら学習を進めていきます。制度利用=出席認定ではないので、出席扱いとなるように、お子さんが継続して学習していけるようなサポートが必要です。
出席扱いになる参考事例
参考事例①:教育支援センターとの連携
(1)学習活動の内容
教育支援センターであらかじめ学習プログラムを内蔵しているパソコンを貸し出し,同プロ グラムの計画に沿って自宅学習ができるようにしている。これによって,一人ひとりの学習履 歴を管理することもできる。
(2)対面指導
教育支援センターの支援員が家庭訪問をするなどして面談するほか,在籍校の教職員による 家庭訪問も定期的に実施している。ICT学習支援として研修を受けた対面指導員が,対面指 導を行うこともある。
(3)保護者との連携
教育支援センターの支援員が家庭訪問をするなどして保護者とも面談しているほか,教育支 援センターから学校に毎月報告書を提出し,それをもとに学校が保護者とも学習状況の確認・ 共有をしている。
(4)出席扱いと評価
教育支援センターからの報告書等に基づき,学習内容や学習時間を踏まえて学校長の判断で 出席扱いにしている。通知表の所見欄にコメントとして記載する場合もある。
参考事例②:民間の学習教材を活用
(1)学習活動の内容
民間業者が提供するインターネット上の学習教材を活用し,同教材における個人に応じた学 習計画(教科書に準拠したもの)に沿って自宅学習をしている。
(2)対面指導
担任や学年主任,SSWが週1回(必要に応じてそれ以上)家庭訪問している。
(3)保護者との連携
担任等が定期的に電話連絡や家庭訪問を行い,学習状況等の聞き取りや取組へのアドバイス 等を行っている。
(4)出席扱いと評価
学習内容や学習時間を踏まえて学校長の判断で出席扱いにしている。学校と民間の学習教材 とでは評価基準が異なるため,別途学校の課題プリントを送付し,その取組内容を確認して所 見の評価としている。
(引用)
https://www.mext.go.jp/content/1422155_001.pdf
出席扱い制度・まとめ
不登校生への支援の在り方として、登校することに主眼を置かず、生徒が自立できることに重きが置かれています。不登校であっても、自宅で積極的に学習することで「出席扱い」となる可能性があり、その後の進路選択も大きく可能性が広がります。少しずつでも学習意欲が芽生えてくれば、まずは担任の先生に相談して、制度の利用を検討されてみてはいかがでしょうか。