子どもがよく親にする質問。
「なんで勉強しなきゃいけないの?」
このような質問をされたときのポイントは2つです。
- 子どもの本当のメッセージに気づく
- 勉強する意味にセイカイはない
それでは、本題にはいりましょう。
子どもの「本当のメッセージ」に気づいていますか?
子ども:どうして勉強しなきゃいけないの?
一度は質問されたことがあると思います。
このような質問をされたときに重要なのは、子どもが「なぜこのような質問をしているのか」「どのような状況で質問をしているのか」を理解してあげることです。
「どうして勉強しなきゃいけないの?」とたずねるのには、本当は「もう勉強したくない」「塾にいきたくない」「もっとゲームしていたい」という本当のメッセージが隠されているのです。
ですから、もし子どもに尋ねられたら、子どもの状況を推測して「本当は何を言いたいのだろう」と寄り添ってあげることが大切なのです。
「考える力」のある子は直感で理解している
そもそも、こういった疑問にたいして「自分で考えるクセ」の付いている子は、「なぜ勉強するのだろう」などを親に質問しません。
なぜなら、「あ、勉強する意味に答えなんかないな」と直感的に分かっているからです。
「なぜ勉強するのだろう」「どうして自分はこの星に生まれたのだろう」といった疑問には、答えがありません。だからこそ、一生を通して自分なりに考えなければいけない。
このことを理解している子は、勉強する意味を親にたずねることがないわけです。
親なりに考えて「向き合う」ことが大切
しかし、もし子どもが「どうして勉強しなくちゃいけないの?」と質問してくるのであれば、聞いてくる具体的な理由があるわけで、「どういう状況で聞いてきているのか」子どもの本心を理解してあげましょう。
なぜ、そんな質問をしているのか、子どものメッセージに気づくことが大切なのです。
それが分からないのだとしたら、もっと子どもと向き合うことが必要です。分かりあう必要はなく、子どもに分かりやすく説明する必要もありません。
肝心なのは、子どもがなぜそのような質問をするのか親なりに考えればよいのです。それが「向き合う」ということです。
代表的な「勉強する意味」
ここでは、代表的な勉強する意味をご紹介します。
しかし、代表的な勉強する意味を子ども説明するのではなく、子どもの本心に向き合い、勉強する意味を納得してもらうことが肝心です。
① 「人生の選択肢」を広げる
中学生であれば、高校や大学えらび、さらには仕事をえらぶときの選択肢が広がります。
いざ、自分のすすめべき道が見えてきたときに「どんな道にも進めるようにする」ことが勉強する理由の一つです。
お笑い芸人の島田紳助さんも、以前テレビの中で言っていました。「人生の選択肢が広がるというのは、おこづかいを1万円もらってる人と千円しかもらってない人の差。1万円あったら何でも買える。でも300円のものを買ってもいい。でも千円しかもらってない人は2千円のものは買えん。だから勉強せなアカン。」
その通りだと思います。
選択肢を広げるとは、言い換えれば「自分の可能性」を広げること。
プログラマーの人が、コンビニで働くことはできます。でも、勉強せずにゲームしかしてこなかった人はプログラマーに簡単にはなれません。
だからこそ、自分の可能性を広げるために勉強する必要があるのです。
② 自分のためではなく「誰かのため」
私たちの社会は、いろんな人に支えられて成り立っています。
例えば、野菜やお米を育てる人がいるから、うえることなく生活できます。家をたてる人がいるから、安心してくらせます。服をつくる人がいるから、外でも生活できます。
だれかの支えがあって、今の私たちは生きているのです。自分ひとりだけ生きられればいいや、という人ばかりになったら、食べるものがなくなり、家もボロボロになり、着るものもなくなってしまいます。
勉強するとは、「知恵」を身につけるということ。野菜を育てる知恵、家をたてる知恵、服をつくる知恵、会社で働く知恵、国をまとめる知恵。
子どもは「大人」になって、20年後、30年後に生まれてくる子どもたちに「知恵」を伝えていくために、今、学校で色んな知恵を学んでいるのです。
なぜなら、だれも知恵を学ぶ人がいなくなれば、誰が「未来の子どもたち」にバトンを渡すのでしょう?
だからこそ、自分のためではなく「誰かのため」に勉強する必要があるのです。
③ 「考える力」を身につける
考える力を身につけるのには、3つの理由があります。
1つ目は、周りの意見に流されないため。いじめは周りの空気が作りだします。「みんなあの子を無視しているから、僕も無視しておこう。みんなと同じことをしていないと自分がいじめられるから。」誰かがそう言ったからではなく、「自分がこうだと思うから」行動するのが正しい生き方です。空気のように流されて生きてはいけません。空気を右や左に移動させる「風」のように生きることが、流されない生き方です。
2つ目は、だまされないため。世の中には、だましてお金をもうけようとする人がたくさんいます。代表的なのが「詐欺」ですね。彼らは巧妙な話術でだましてきます。「じぶんは大丈夫だろ~」と思っている人でもだまされてしますので。こうしたずる賢い人にだまされないために「常識」をみにつけ、うそをみやぶる力が必要なのです。
3つ目は、これからの時代は「発想力」が求められているから。発想力とは、アイデアやひらめきのことです。今までは「言われてことを一生懸命やる」ことを求められていました。それは、戦後日本がまだ豊かではなかったから。しかし、経済発展をとげ、豊かになった今の日本では、「発想力」のある人が求められています。なぜなら、単純作業はロボットがやってくれるから。だから、僕たちに必要なのは「キミだけのアイデア」なのです。
これら3つのキソとなるのでが「考える力」です。「みんなが言うから」「ニュースで言っていたから」「誰かが言っていたから」ではなく、自分なりに考えて、責任をもって行動するのが「大人になる」ということです。無責任な子どもばかりでは、100年後の日本は、どうなってしまうのでしょう?
④ 「生きるため」
原始時代においては、えものをたくさん捕まえることが「生きるため」に必要でした。そのために、武器のつくりかた、えものの特性、つかまえかたなどを勉強していました。つまり、食べるために勉強が必要だったのです。
一方で、現代社会では、お金をたくさん稼ぐことが「生きるため」に必要になりました。稼いだお金で「食べ物」を買ったり「家」をたてたりするのです。
お金を稼ぐには、だれかの役にたつ必要があります。キミが人の役にたつから人はキミはお金をもらえるのです。難しく言えば、社会に「価値を提供する」ということ。サラリーマンの人は、会社に労働力を提供するから、会社からサラリー(お給料)をもらえる。農家の人は野菜を育てて、みんなに作物を提供するから、お金をもらえる。みんな価値を提供する対価としてお金を稼いでいるのです。
だから、価値を提供できなければ、お金がもらえません。お金がもらえないと、食べ物を買えないし、住む場所も借りれません。
そのために、勉強するのです。 価値を提供してお金をかせぐため。 お金を稼いで生きるため。
⑤「 やりたい事」にめぐり合うため
キミは「将来の夢」がありますか?
夢がある人は、「夢をかなえる」ことが勉強する意味です。
夢がない人は、「やりたい事を探す」ことが勉強する意味です。
中学生のキミが、将来やりたいことを見つけられていなくても不安がる必要はありません。なぜならほとんどの大人が中学生のころには分からなかったから。お父さんお母さんもそうだと思います。
そもそも、勉強してみないことには、「自分はなにがすきなのだろう」「なにが得意なのだろう」といった、自分がすすむべき方向は見えてきません。
むしろ、すすめべき方向さえ見えてくれば、次にすすむべき道が見えてくるのです。これをやりたいという目標ができれば、そのためには何が必要かなと考え、勉強する。
勉強するまでは、自分のやりたい事とは巡り合えないのです。
「勉強する意味」に正解はありません
代表的な勉強する意味を5つ紹介しましたが、どれが正解ということはありません。重要なのは、キミの納得できる「勉強する意味」を自分で考えることです。それがキミにとっての正解だから。
勉強して「良かったこと」を話すべき
とは言っても、子どもに聞かれたときに「どう答えたらいいのだろう」と悩んでしまうかもしれません。
そんなときは、あなた自身の「勉強して良かったこと」を子どもに話してあげてみてください。
たとえば、「お母さんは、勉強して〇〇高校にはいって、色んな友人に出会えた」「英語を一生懸命べんきょうしたから、学校の先生になれたし、あなたのお父さんとも出会えた」
大切なのは、一般論で説得するのではなく、「あなたの経験で納得してもらう」ことなのです。
まとめ
今回は「勉強する意味」について書きました。
大切なのは、2つのポイントを押さえることです。
- 子どもの本当のメッセージに気づく
- 勉強する意味にセイカイはない
もし、子どもに尋ねられたら、この2つを踏まえて向き合ってみてください。むしろ「どうして勉強するの?」と聞かれたら、子どもと向き合うチャンスと考えてみるのもよいかもしれません。
(参考)
おおたとしまさ(2013),『子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?』,日経BP
石井大地(2009),『勉強する理由』,ディスカヴァー・トゥエンティーワン