今回は、日本サマーヒル・アカデミー様にインタビューさせていただきました!
まずは自己紹介をお願いします

日本サマーヒル・アカデミーを運営している大浦絢子と申します。
博士(人間科学)・保育士として、これまで大学や研究機関などで研究に携わってきました。
現在は、研究者への研究支援事業のほか、国際学力調査に関連する業務などにも携わっています。
研究者として教育や人の発達に関わってきましたが、日本サマーヒル・アカデミーを立ち上げる大きなきっかけとなったのは、自分の子どもが学校に行かなくなったことでした。
現在は、これまでの研究・教育の経験と、保護者として不登校に向き合った経験の両方を生かしながら、子ども一人ひとりの個性や得意を伸ばし、自分らしく社会の中で生きていく力を育てる、新しい教育の選択肢づくりに取り組んでいます。
日本サマーヒル・アカデミーはどのようなフリースクールですか?

神奈川県座間市にある、小・中学生を対象としたオルタナティブスクールです。
私たちが掲げているのは、「強い個性は、未来をつくる才能になる。」という考え方です。
学校に子どもを合わせるのではなく、子どもに合った環境をつくる。そして、一人ひとりの「好き」「得意」「なぜ?」を出発点として、その子の可能性を広げていくことを大切にしています。
一方で、「自由=何もしなくていい」とは考えていません。
子どもの選択や自己決定を尊重しながら、基礎学習、運動・スポーツ、探究学習・起業家教育、STEAM教育、アート、eスポーツ、校外活動など、さまざまな学びや体験に出会える環境を用意しています。
「自由だけでは終わらない。成長につながる仕組みをつくる」ということを大切にしているスクールです。
フリースクールを設立しようと思ったきっかけを教えてください

一番のきっかけは、当時小学2年生だった長男の不登校です。
長男は勉強もスポーツも好きで、友達もたくさんいました。一方で、みんなが同じ場所で、同じ内容を、同じペースで学ぶ学校の環境が合わず、ストレスから体調を崩すようになりました。
そこで初めて、「学校に行けない=勉強が嫌い、人間関係が苦手」という単純な話ではないことを実感しました。
子どもに問題があるのではなく、その子の特性と教育環境が合っていないこともある。だったら、学校に子どもを合わせるだけではなく、子どもに合った教育環境をつくればいいのではないか。そう考えたことが出発点です。
調べていく中で、不登校の低年齢化や、学校外で基礎教育とその子の得意を伸ばす教育の両方を受けられる場所がまだ十分ではないことも知りました。
そこで、教育だけでなく、発達期の子どもに大切な体づくりにも力を入れ、さまざまな専門家や地域の方々と連携しながら学べる場所として、日本サマーヒル・アカデミーを立ち上げました。
どのようなお子さんが通われていますか?また、どんなお子さんにおすすめですか?

不登校やさみだれ登校のお子さんを中心に、学校以外の教育環境を求める小・中学生が通っています。
特に、集団一斉型の学習が合わない子、自分のペースで学ぶと力を発揮できる子、興味のある分野をとことん追究したい子、得意と苦手の差が大きい子、強い個性や才能を持っている子などには、選択肢の一つになり得ると考えています。
ギフテッド・タレンテッドなど、特定の分野に高い能力や強い関心を持つお子さんも通っています。
私たちは「できないことを平均に近づける」ことだけを教育の目的にはしていません。
もちろん苦手なことへのサポートも大切ですが、それと同じくらい、その子にしかない得意や興味を、どこまで伸ばせるかを大切にしています。
「学校にはなじめないけれど、好きなことなら驚くほど集中する」「得意なことはどんどん先に進みたい」「もっと自分の興味から学びたい」というお子さんにも、ぜひ選択肢の一つとして知っていただきたいです。
日本サマーヒル・アカデミーならではの特徴や強みを教えてください

大きな特徴は、子どもの「好き」や「得意」を、そこで完結させず、学びや社会につなげていくことです。
午前中は、学習状況や進度に合わせた基礎学習を行います。そのうえで、運動・スポーツ、探究学習、起業家教育、STEAM教育、文化・芸術、校外活動など、多様な体験を組み合わせています。
例えば、子どもが「これをやってみたい」と言ったとき、大人が用意した活動を体験して終わるのではなく、自分たちで調べ、企画し、役割を決め、予算やスケジュールを考え、広報し、実際に社会に向けて実践するところまで発展させることがあります。
起業家教育では、実際にイベントの企画・運営や販売、接客、展示なども経験します。
好きなことを突き詰めていくと、国語、算数、社会、情報、コミュニケーション、プレゼンテーションなど、さまざまな学びが必要になります。
だから私たちは、「何を学ぶか」だけではなく、「自分で考え、自分で動き、必要なことを学びながら実現する力」を育てたいと考えています。
また、教育・研究・文化・運動など、さまざまな分野の専門家や地域の方々と子どもたちが日常的に出会えることも特徴です。
学校という枠の中だけで教育を完結させるのではなく、地域や社会そのものを学びの場にしていくことを目指しています。
学校に行きづらさを感じているお子さんや、その保護者の方へメッセージをお願いします
学校に行けなくなると、保護者の方は「勉強が遅れてしまうのではないか」「社会性が身につかないのではないか」「このままで将来大丈夫なのだろうか」と、さまざまな不安を感じると思います。
でも、子どもの成長の道筋は一つではありません。
学校という環境で力を発揮する子もいれば、別の環境に移った途端に、生き生きと活動し始める子もいます。
大切なのは、「学校に行っているか、行っていないか」だけではなく、その子が今いる環境で、安心して過ごし、何かに興味を持ち、自分で考え、挑戦し、少しずつ世界を広げているかということだと思っています。
強い個性や、周囲と違うことは、今は生きづらさにつながることがあるかもしれません。でも、環境が変われば、それは大きな才能になる可能性があります。
だからこそ、子どもを一つの環境に無理に合わせるのではなく、その子が力を発揮できる場所を探してほしいと思います。
フリースクールも、そのための教育の選択肢の一つです。
私たちは、学校に行っていない時間を単なる「空白の時間」にするのではなく、好きなことや得意なことに出会い、自分の可能性を知り、未来につながっていく時間にしたいと考えています。

