中学受験を控えたお子さまの現在位置を知るために欠かせない「模試」。模試が中学受験対策で必要なことはわかってはいるものの、詳しくは知らない……
そんな方のために、この記事では、模試の種類や模試を受けるメリットを解説します。また中受の模試を受ける時に気をつけたいポイントなども併せて紹介。模試を上手に活用して、志望校合格への道をしっかりとサポートしましょう。
中学受験の模試とは
模試とは、実際の入学試験を想定した試験のことです。入試の模擬体験とも言えます。
模試を「練習試合」に例えることは多いのですが、大会当日と同じような状況で試合をし、実力を試して弱点が見つかれば修正し、試合慣れをして本番に備える——確かに模試と練習試合は似ています。
入試も志望校の試験が「大会当日」だとすれば、模試を何度か受けることで実力を把握し、弱点を見つけて克服しながら、当日の勝利をめざします。
中学受験「模試の種類」
中学受験の模試は大きく4つに分けられます。
- 統一系の模試
- 志望校別の模試
- 公立中高一貫校向け模試
- 塾内模試
統一系模試
統一系の模試は、学校別ではなく、中学入試全般における標準的なレベルの問題をカバーしています。代表的なのが首都圏模試、四谷大塚の「全国統一小学生テスト」などです。
日能研の「志望校選定テスト」、四谷大塚の「合不合判定テスト」は大きくみると統一系の模試に含まれますが、首都圏模試などと比べてレベルが高いのが特徴です。志望校の候補を記入して試験を受けることで、合格・不合格の確率や平均点、偏差値、正答率を細かく確認できます。これらは公開テスト・公開模試とも呼ばれ、日能研や四谷大塚の塾生でなくても受けられます。
同じくSAPIXにも公開模試の「合格力判定テスト」がありますが、こちらは難関校をめざす層向けで、出題内容も非常に難易度が高くなっています。
志望校別模試
志望校別模試は主に難関校を対象として、各校の傾向をつかんだ出題となっています。SAPIXでは開成や栄光学園、灘、桜蔭、女子学院など、学校別に作成された問題で実施されています。早稲田アカデミーや能開センター(近畿エリア)をはじめ、いくつかの有名塾で、各中学校に特化した模試が行われています。志望校の出題傾向を押さえた内容のため、志望校の適性や合否判定がより高い精度でわかります。
塾内模試
塾内模試は、各塾が塾生を対象に独自に行なっている模試です。中堅から大手塾の各校で独自の模試を行っています。志望校の絞り込みや、学力アップのモチベーションとして活用されています。
公立中高一貫校向け模試
私立中学と公立中高一貫校では入試の内容が大きく違います。そのため、都立中高一貫校向けに別途、模試を行っています。日能研の「公立中高一貫校適性検査対策テスト」、四谷大塚の「公立中高一貫校対策 実力判定テスト」などが有名です。
このように各塾・事業者によって、さまざまな模試が行われています。レベルや目的、また開催日程も踏まえて、模試を選ぶ必要があります。
首都圏4大模試について
首都圏でいわゆる「4大模試」とよばれるのは次の4つです。
- SAPIX
- 日能研
- 四谷大塚
- 首都圏模試
難易度 | 受験人数 | |
---|---|---|
SAPIX | ★★★★★ | 高いレベルの生徒が受験するため、受験人数は少なめ |
日能研 | ★★★★ | 多い |
四谷大塚 | ★★★★ | 非常に多い |
首都圏模試 | ★★★(標準) | 多い |
4大模試のうち、SAPIXは難関校から超難関校をめざす生徒が多いため、模試の内容もハイレベルです。受験する生徒も難関校を志望する層がメインのため、受験人数は他の模試と比べて少なくなります。
日能研と四谷大塚は似たようなレベルで、中堅校から難関校までを対象とした受験生が多く受けています。四谷大塚は全国レベルで地域の塾ともつながっているため、4大模試の中でもっとも多くの小学生が受けています。
首都圏模試は、いわゆる標準というべきもので難易度はそこまで高くありません。
自分のレベルや志望校に合わせた模試を受けるようにしましょう。
4大模試の「偏差値の違い」
それぞれの模試で偏差値が出ますが、試験内容や受験者のレベルが違うため、偏差値も大きく差があります。
たとえば、開成中学を例にしてみましょう。
- SAPIXの偏差値 64〜
- 日能研の偏差値 71〜
- 四谷大塚の偏差値 71〜
- 首都圏模試 78〜
一般的な話ですが、四谷大塚や日能研の模試で出た偏差値に「10を引くとSAPIXの偏差値」で、「10を足すと首都圏模試の偏差値」に近くなると言われています。いずれにしても、偏差値は受験者数などでも変わります。偏差値は重要ですが、偏差値のみで安易に学力を判断しないようにしましょう。
住んでいるエリアで有名な模試を受けよう
中学受験では基本的に通学できる範囲で志望校を選びますから、居住地のエリアにおける有名模試を受けるのが一般的です。四谷大塚や日能研などは全国展開をしていますが、お住まいのエリアで多くの人が受ける模試があれば、ぜひ受けてみましょう。
関西では、五ツ木・駸々堂中学進学学力テスト会や能開センター中学受験実力判定模試などが有名です。
中学受験で模試を受けるメリット
では、模試を受けることでどんなメリットがあるのでしょうか?
現時点の子どもの実力・ポジションがわかる
模試を受けることで、現在どれくらいの位置に自分がいるかがわかります。特に5年終わりから小6始めに受ける模試では、自分の実力を数値ではっきりと確認でき、今後の目標を定めやすくなります。
また試験が近づく小6夏の終わり〜秋には、模試の結果を参考に志望校や併願校を絞り込むことになります。
弱点が把握できる
試験の結果、正答率などを確認することで苦手な領域を把握できます。普段の授業でも不得意は認識しているかもしれませんが、模試の結果を見ればより明確に苦手な分野がわかります。
子ども本人も客観的に「ここが苦手で足をひっぱっているのだな」とわかれば、学習の意欲も高まりやすいでしょう。穴のあいたバケツにいくら水をいれても漏れていくだけ、中受では「穴を着実に埋めていく」ことが重要です。そうした意味からも、模試は小6の当初から、定期的に受けることが大切です。
試験に慣れる
塾で受ける試験と、本番の試験は雰囲気も違います。模試は私立中学で開催されることも多く「本番さながら」の状況で試験を受けられます。何回か模試を受けることで、だんだんと試験慣れもしてくるでしょう。
また、出題を見て時間配分をその場で行うことも、模試で実際に経験しておくことが大事です。
入試当日は誰でも緊張するもの。少しでも気持ちを楽にさせるためにも、模試で慣れておきましょう。
志望校決めの材料になる
中学受験では、チャレンジ校・志望校(適正校)・安全校と複数の学校を受験するのが一般的です。
同じ志望校をめざす受験生の併願情報や志望校グラフなどにより、さまざまな情報が模試の結果から読み取れます。模試の結果がすべてではありませんが、貴重な志望校選びの参考材料となります。
中学受験模試は「いつから?」「何回受ける?」
中学受験の模試は一般的に、受験の1年程度前から受けることが多いです。小学5年生の終わりから6年生にかけて、模試を受ける頻度を増やしていきましょう。
中学受験模試はいつから?
焦って早くから模試を受ける必要はありませんが、小学5年生で1度、模試を受けてみるとモチベーションアップにつながるかもしれません。お子さまの性格にもよりますが、「試験を受ける雰囲気」を感じ、自分の成績を全国レベルで見ることで、意欲がわくこともあります。
ただし、小5で受けた模試の結果で落ち込んでしまい、やる気をなくしたら本末転倒です。小5で模試を受ける場合は「これからの目標を定めるための試験」と捉えるようにしましょう。
6年生になったら模試は複数回受ける
6年生では、4月から12月の間に6回〜10回程度、模試を受けるパターンが多いようです。
志望校を絞り込む目的と共に、弱点を把握し克服するためにも、一定の期間で複数回受けるようにしたいですね。
塾や家庭教師の先生と相談しながら、学習プランと模試を受けるタイミングを決めていきましょう。
中学受験で模試を受けるときの注意点
「メインの模試」を決める
模試はいくつかの種類を受けても、もちろん大丈夫です。ただ、メインとなる模試はひとつに決めて、受け続けるようにしましょう。同じ模試を受け続けることで、継続的に「成績の変化」を捉えられます。
模試を受けすぎてパンクしないようにする
中受も小6ではペースアップし、塾によっては毎月のように塾内模試があるところも!
それでなくても授業も増え、過去問を解くなど宿題のボリュームも大きくなりますから、模試をどの日程で入れるか、親が塾や家庭教師など指導者と相談し、また子どもの体力等も配慮して決めていくことが大切です。
模試の役割を子どもに理解させる
模試を受けると当然ですが結果が出ます。子どもはその結果を見て「合格・不合格」と捉えがちです。模試はあくまで今の時点での結果であることや、弱点の把握など、今後の受験対策に役立てるものであることを伝えてあげましょう。
とはいえ、親子だと、ちょっとしたことから言い合いになりがちです。子どもの反応が鈍いと「ちゃんと聞いているの?」なんてひと言から、話の方向がそれてしまいます。
塾や家庭教師など、子どもが信頼する先生から話してもらうのも良い方法です。
中学受験の模試は受けた「後」が大事!
模試を受けた後にするべきこと
- まちがえた問題の復習
- 弱点の把握と克服
- 受験勉強の効果を確認し今後のプランの見直し
模試は受けること以上に、受けた後の対応が大切です。間違えた問題の解き直しや、見直しは必ず行うようにしましょう。
これまでの受験勉強の結果が模試に出ているわけですから、学習プランの見直しもポイントになります。
弱点の克服を含め、何に力をいれるべきか、勉強時間や学習方法を再考する機会です。模試の結果をもとに塾や家庭教師の先生と相談しましょう。
模試の結果が悪かった時は
結果に一喜一憂しない
模試はあくまで現時点での実力測定です。最終的な目標は志望校合格であることを忘れないようにしましょう。
模試の結果を踏まえ、適切な学習計画を着実に行っていくことが大切です。合格マークや偏差値に惑わされすぎずに、最終ゴールをめざしていきたいですね。
長期的な視野で、学力向上のための参考材料と考えましょう。
保護者は冷静に!子どもの気持ちに寄り添おう
模試の結果が悪いと、ついつい保護者としては「もっとがんばりなさいよ」などと言いたくなりますね。でも、結果を誰よりも気にしているのは子ども自身です。
思ったような結果でなかった時こそ、親の出番です。成績うんぬんではなく、頑張って勉強をしている姿勢や、目標を決めて向かっていることじたいが「すばらしいこと」と伝えてあげましょう。
お子さまが落ち込んでいるなら、強く励ますよりも「そうだよね、落ち込むよね」とまず共感を示し、気持ちを受け止めてあげてください。子どもなりにストレスや疲労を感じているかもしれません。
子どもの気持ちを受け止め、子どもに寄り添うのも、中学受験においての「親の重要な役目」です。
中学受験の対策に模試は必須!
中学受験の対策には模試を受けるのは必須といっても過言ではありません。しかし、どの模試を受けるべきか、模試の結果をどう分析するか、分析した結果の学習プランなど、なかなか保護者ひとりでは対応できません。
塾はもちろんですが、苦手科目など個別指導や家庭教師でカバーしようと考えているご家庭もあると思います。中学受験に強い教師なら、お子さまに合わせて模試の活用を具体的に教えてくれますから、相談してみましょう。
編集:オンライン家庭教師GIPS
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