皆さんは「STEAM教育」をご存じでしょうか?
日本ではあまり耳慣れない言葉ですが、実は全世界に広まりつつある、今注目の教育手法なのです。
この記事では、STEAM教育について、具体的に解説していきます。
STEAM教育とは?
(1)読み方は「スティーム」
STEAMとは、5つの頭文字をとった造語で、読み方は「スティーム」と読みます。主に理系分野を中心とした、今後の社会で必要とされる能力です。
(2)5つの分野からなる
これら5つの分野からなる教育手法をSTEAM教育と呼び、全世界から注目されています。
(3)アメリカから始まったSTEAM教育
STEAM教育は、アメリカのオバマ前大統領が演説で述べたことにより、全世界から注目されるようになりました。演説の中で、「スマートフォンやゲームで遊ぶだけでなく、実際にプログラミングをしてみよう」と訴えられています。
STEAM教育が必要な理由
(1)AIやロボットが広がる
スマホやPCなどが急速に広がり、世界のテクノロジーはどんどん進化しています。AIと呼ばれる人工知能は、人の脳をはるかに上回るスピードで作業を完了させ、私たちの生活に必要不可欠となっています。また、ペッパーくんと呼ばれるロボットも、街中で見かけることが増え、今後ますます社会に浸透することが予想されます。
(2)デザイナーやエンジニアが不足している
こうした社変化の中で、AIやロボットを利用するだけではなく、生みだせる人材を育てることが必要になっていきます。しかし、AIやロボットを生みだせる人材、つまりデザイナーやエンジニア人材は、世界的に不足しています。
(3)モノづくりに特化した教育が必要
今後ますます進化が予想される中で、新たな変化を生みだせる「モノづくり」に特化した人材を養成すべく、いま世界的にSTEAM教育が必要とされているのです。
海外での取り組み
Make Block社(中国)
2013年に設立された、世界有数のSTEAM教育ソリューションプロバイダー。2016年には、日本法人も設立され、学校・私塾・家庭でのSTEAM教育現場と、エンターテイメントシーン向けのハードウェアとソフトウェア製品の提供、教育コンテンツの輸出、ロボットコンテストの開催サポートなど、技術と教育のより深い統合を推進している。
サイエンスセンター(シンガポール)
シンガポールにある政府直属のSTEAM教育機関。14のギャラリーに1,000を超える体験型展示が展開される教育アトラクション。凄まじい火災旋風のデモを見学したり、天文台で星を見ることもできる。
High Teck High(アメリカ)
STEAM教育を実践するアメリカの小中高混合の学校。決まった教科書や定期テストはなく、どんな授業をするかはそれぞれの教師に任されている。プログラミングやライフスキル(非認知能力)の育成に力を入れている。非認知能力とは、学力や偏差値といった「認知能力」と対照的に、創造性や意欲など具体的な数値では表しにくい能力のことを指す。
日本での取り組み
文部科学省は、2009年からSTEAM教育を考えはじめ、現時点でいくつかの取り組みがなされています。いくつかの事例を解説します。
STEM教育研究センター
2002年に埼玉大学に開設された、ロボット技術やプログラミングを子どもたちと行う研究センター。子どもたちへのものづくり教育に取り組んでいる。
科学の甲子園
高等学校の生徒チームを対象として、理科・数学・情報における複数分野の競技を行う取り組み。2011年に国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)により創設され、全国の科学好きな高校生が集い、競い合い、活躍できる場となっている。
(参考)
中村一彰(2018),『AI時代に輝く子ども』,株式会社CCメディアハウス