子どもが本を読まない…」「スマホばかり見ていて大丈夫だろうか」そんな不安を感じる保護者の方は少なくありません。子どもの読書離れは以前から指摘されており、SNSや動画コンテンツの普及によって、長い文章を読む機会そのものが減っているともいわれています。

一方で教育現場では、読書の重要性が繰り返し語られています。読書は知識習得にとどまらず、読解力・思考力・表現力といった、あらゆる学びの土台につながるからです。AIが急速に発展する時代だからこそ、「情報を読む力」「考える力」の重要性は高まっています。

この記事では、読書によって期待できる効果や、学力や思考力との関係AI時代に読書が重要な理由を分かりやすく解説します。後半では、子どもに無理なく読書習慣をつけるヒントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

なぜ今、子どもの読書が重要なのか

子どもの読書離れは、数字にも表れています。全国学校図書館協議会の「学校読書調査」では、1ヶ月に1冊も本を読まない生徒の割合が、特に中学生・高校生で高い水準にあると示されています(2025年5月の調査では、中学生24.2%、高校生55.7%)。

一方で、学習指導要領においては「読解力」「思考力」「表現力」が重視される方向性は変わっておらず、読書の必要性が議論から消えることはありません。

参照:「学校読書調査」の結果|全国学校図書館協議会

情報があふれる時代ほど「読む・考える力」が重要

現代の子どもたちを取り巻く情報環境は、かつてとは大きく異なります。SNSでは短文や断片的な情報が次々と流れ、動画では映像と音声が自動的に届きます。疑問があればすぐ検索でき、わざわざ長い文章を読まなくても、日常生活には不自由しません。

こうした環境では、文章をじっくり読んだり、内容を自分の頭で整理したりする経験が自然と減っていきます。一方で情報が増えるほど、何が正しいかを自分で判断する力が求められます。情報を読む力は、意識して使わなければ育ちにくいものです。便利になったからこそ、読む機会を意識的につくることが大切になっています。

読書で育つ「読む力」はすべての学習の土台になる

たとえば算数の文章題で「AはBより3つ多い」を「AもBも3つある」と読み違えてしまうと、計算方法は知っていても正解できません。理科や社会でも、読解力が不足していると問題文の意味がつかめず、知識はあるのに得点につながらないケースが生じます。

逆に言えば、読む力がしっかりしていると、初めて見る問題でも「何を聞かれているか」を把握しやすくなります。読書によって育まれる読む力は、学習全般を支えるのです。

読書で期待できる効果とは

読書の効果は、知識習得からリラックス効果まで多岐にわたります。ここでは学力や思考力につながる効果を具体的に見ていきます。

語彙が増える

まずは語彙力の向上です。本を通して日常会話ではあまり使わない言葉や、多様な表現に触れることで、言葉のストックが増えます。

知っている言葉が増えるほど、文章の理解もしやすくなり、読み飛ばしや読み落としを減らすことにも繋がります。自分の気持ちや考えを、具体的に表現しやすくなるのも利点です。

考える力・想像する力が育つ

読書をしているとき、頭の中ではさまざまな作業を自然に行っています。文章の意味を間違いなく取り出すのはもちろん、「なぜ主人公はここで泣いたのか?」と感情の背景を考えたり、場面の情景や空気感を想像したりと、決して受け身な時間ではありません。

映像作品や漫画は視覚的に理解しやすいですが、小説や文章中心の本では自分で想像し、文章同士をつなげて解釈する必要があります。これが想像力や思考力を育てることにつながります。

自分の考えを言葉にする力が育つ

読書はインプットであると同時に、アウトプットする力の源です。物語を読んで感動したり、疑問を感じたり、登場人物に共感したりすることで、自分の感情や考えを言葉で整理する感覚が育ちやすくなります。

言語化する力が役立つ場面は、作文や記述問題にとどまりません。面接や小論文など、自分の考えを言葉で説明する力が求められる場面は、受験でも増えています。読書経験は、その土台の一つになり得ます。

長い文章を読む力が身に付く

教科書や参考書、入試問題では、学年が上がるほど、扱う文章は長く複雑になります。こうした長い文章を正確に読む力は、短文や要約ばかり読んでいてはなかなか身に付きません。

読書を通じて長い文章を読み切る経験を積むことで、学習でも長文に向き合いやすくなると期待できます。

読書量と学力にはどんな関係がある?

読書量と学校の成績には、実際に関係があるのでしょうか。国内外の複数の調査・研究で一定の関連が指摘されています。

たとえば、文部科学省が実施する全国学力・学習状況調査では、読書習慣のある児童・生徒のほうが、国語だけでなく算数・数学、理科においても、平均正答率が高い傾向が見られます。この調査における読書は、電子書籍を含む文字の本を対象としており、教科書や参考書、漫画や雑誌は含みません。

また、国際的な学習到達度調査では、よく読書をしている生徒の方が、読解力の得点が高い傾向にあります。こちらの調査では、デジタル機器での読書や漫画など、さまざまな読み物を含めて読書量を調査しています。

学力に影響する要因は読書だけでなく、家庭の教育環境や本人の学習習慣、もともとの興味関心など、さまざまです。「本をたくさん読めば成績が上がる」と断言はできませんが、日頃から文章に慣れ親しんでいるかどうかは、一定のプラスになるといえます。

参照:令和7年度 全国学力・学習状況調査の結果(概要)|文部科学省

OECD 生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント|文部科学省

AI時代こそ「読む・考える力」が重要になる理由

生成AIの進化によって、情報収集や文章作成は飛躍的に便利になりました。ここでは、AI時代に読書がどのような意味を持つのか整理します。

AIの出力を判断・評価するのは人間

今の社会は、すでにAIを使うことが当たり前になりつつあります。すぐに答えが出て便利なようですが、AIが出した答えが正しいかどうか・使えるかどうかを判断するのは、あくまでも人間です。

AIは、一見正しく見える誤情報を出力することもあります。自分の知識や経験と照らして真偽を見抜いたり、情報が目的に合っているかを問い直したりする役目は、人間にしか担えません。

読書は「情報を扱う力」の土台になる

AIの出してきた情報を判断する力は、一朝一夕で身に付くものではありません。文章の内容を理解し、自分なりに考え、情報同士をつなげる経験の積み重ねで育っていくものです。

読書は、AIとの共存に大切な「情報を扱う力」を、自然に育てられる方法の一つです。

子どもが本を読まない…家庭で読書習慣をつくるには?

本を読んだほうがいいのは分かるけれど、うちの子は全然読まない…」というのは、多くの家庭でよくある悩みです。無理やり読ませることはできませんから、興味を持つきっかけを増やしてみてください。また、少しずつでも良いので継続することが大切です。

好きなジャンルの本を選ぶ

背伸びして「ためになる本」を選ぶ必要はありません。逆に、好きなジャンルを多く読む人ほど、小中高校を通した読書量は多い傾向があるとの調査もあります。

ミステリーや冒険、スポーツ、ゲーム、歴史、科学など、どんなジャンルでも構いません。読みたい本を優先することで、読書そのものへのハードルが下がります。

好きな本を読む時間は、息抜きやストレス解消にもなります。学校や習い事で忙しい子どもにとって、読書が楽しみな時間になれば、それ自体が継続のモチベーションになるでしょう。

漫画や電子書籍を入口にする

活字に苦手意識のある子では、漫画を入口にすることも有効です。漫画にも、語彙や感情表現、ストーリー展開など、読む力の基礎となる要素が豊富に含まれています。漫画のノベライズ本をきっかけに小説を読み始めるケースもあります。「漫画は読書じゃない」と否定せず、文字に親しむきっかけとして活用する視点が大切です。

また、電子書籍も良い選択肢です。スマートフォンやタブレットでも、文章を読んで内容を理解する経験には十分意味があります。紙かデジタルかにこだわりすぎず、読む経験を増やす視点で考えてみましょう。

長時間の読書より「続ける習慣」を意識する

読書の習慣をつくる観点では、毎日少しずつでも続けるのが大切です。多くの学校で「朝読書」が取り入れられているように、短時間でも継続する効果が注目されています。

特に忙しい受験期には、毎日1時間〜2時間も読書をするのは現実的ではありません。就寝前の10分をルーティンにする、通学電車の中でスマートフォンではなく本を開くなど、小さな習慣から始めるだけでも十分です。

大人が読む姿を見せる

子どもの読書習慣は、家庭環境にも大きく左右されます。保護者が日常的に読書する姿を見ることで、本を読むのは自然なことだという感覚が育ちやすくなります。「読みなさい」と言葉で促すよりも、大人が読んでいる場面を見せるほうが、子どもへの影響は大きいと言われます。

図書館や書店を活用する

世間にどのような本があるのか知ることも、読書への第一歩です。学校の図書館だけでなく、地域の図書館や書店も活用してみましょう。

特に小学生の場合、一緒に図書館や書店に行って本を選ぶ体験は、読書へのきっかけになりやすいです。子どもの興味関心を知るきっかけにもなるでしょう。

読解力を伸ばしたいなら、学習サポートを活用する方法も

読書習慣がついてきても、「読んでいるのに読解力が上がっている気がしない」「記述問題になると途端に苦手になる」というお子さまもいらっしゃいます。読解力は、日々の読書で育つ部分もありますが、問題文の読み方・解き方のコツを体系的に学ぶことで、より効率的に伸ばせます。

オンライン家庭教師GIPSでは、お子さまの読解力の状態を丁寧に確認しながら、一人ひとりに合った学習サポートを提供しています。「うちの子の読解力、実際どのくらい?」と気になる方は、まずはお気軽にご相談ください。

まとめ:読書は「学ぶ力」の根っこを育てる

読書は、単に知識を増やすだけのものではありません。読解力、思考力、想像力、表現力といった、子どもの学びを支えるさまざまな力につながっています。

今の時代、AIが簡単に答えを出してくれますが、その答えを判断・活用するのは人間です。読んで、考えて、自分の言葉で表現するための土台を育てるために、読書は今も変わらず有効な手段のひとつです。

最初から難しい本を読む必要はありません。好きなジャンルや漫画、電子書籍など、子どもが「読んでみたい」と思えるものから始めれば十分です。完璧な読書習慣を目指すより、楽しみながら続けられる形を見つけてください。

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