高校選びは、これからの3年間、そしてその先の未来にも関わる大切な選択です。
「私立と公立、具体的に何が違うの?」「どっちが良いのだろう?」と悩んでいませんか?
納得のいく進路を選ぶためには、まず両者の違いを知ることが大切です。
この記事では、私立高校と公立高校の違いを費用やカリキュラム、校風などさまざまな角度から比較します。それぞれのメリットや向いている人、地域差についても解説しますので、ぜひ学校選びに役立ててください。
私立と公立の違い|運営体制・教育環境

私立高校と公立高校の根本的な違いは運営母体です。
公立高校は、都道府県や市区町村といった地方自治体が税金を使って運営している学校です。各地域の教育委員会が管轄し、文部科学省の学習指導要領に沿った教育が提供されます。
一方で私立高校は、民間の「学校法人」が生徒からの授業料などを元に運営する学校です。もともと私立学校は、創設者が「社会のために、こういう教育を実現したい」という志のもと、私財などを投じて設立した歴史を持ちます。それぞれの学校法人には独自の理念があり、多様な教育環境にも反映されています。
私立と公立の違い|費用面
文部科学省の調査によると、令和5年度における学年別の学習費は以下のとおりです。
学年別の学習費総額(全日制高校)
公立 | 私立 | |
---|---|---|
1年生 | 約70万円 | 約127万円 |
2年生 | 約58万円 | 約98万円 |
3年生 | 約51万円 | 約82万円 |
合計 | 約179万円 | 約308万円 |
上記の金額に含まれるのは、授業料や教材費をはじめとする「学校教育費」と、塾や習い事といった「学校外活動費」です。3年間の合計では、公立と私立で約130万円もの差があります。
このうち授業料については、国の支援金制度が利用できます。
「高等学校等就学支援金」制度では、世帯年収に応じて、公立高校の授業料に相当する額(年間11万8,800円)が支援されます。私立高校の場合は支援額が引き上げられ、最大39万6,000円が上限です。
さらに今後は、所得制限の撤廃や加算額の引き上げも含めた、いわゆる「高校授業料の無償化」も検討されています。実際に令和7年度には、世帯年収を問わず、年間最大11万8,800円が支援されることになりました。自治体によっては独自の助成金制度もあるため、対象となるか確認してみましょう。
私立と公立の違い|入学試験

入学試験の制度は、私立と公立で大きく異なります。
まず日程ですが、私立の一般入試は1月下旬から2月上旬、公立は2月下旬から3月上旬に行われるのが一般的です。このため、公立を第一志望とする受験生の多くが、力試しや併願校として先に私立を受験します。公立は原則1校しか受験できませんが、私立は日程が重ならなければ複数校の受験が可能です。
評価方法も異なります。公立は、国数英理社の5教科による学力検査と、中学校の成績や活動を記録した「内申書(調査書)」を合算して評価します。内申点の比重が高いのが特徴です。
一方、私立の一般入試は国数英の3教科が中心で、当日の学力試験の点数が重視される傾向にあります。ただし、私立でも推薦入試の場合は内申点が重視されます。
また、内申点の基準を満たすと一般入試での合格が有利になる「併願優遇」制度を設けている私立高校も少なくありません。併願優遇制度を使うと、併願した私立に入りやすくなるため、安心して本命の受験に臨めます。
私立と公立の違い|カリキュラム・進学実績

入学後のカリキュラムと進学実績も、私立と公立で異なります。
公立高校のカリキュラムは、文部科学省の学習指導要領に沿ったものです。基本的には、全国共通の水準を満たす教育を、3年間で終えるペースで授業が進みます。進路別にコースを分ける場合もありますが、授業のペースは私立高校ほど早くないのが一般的です。
一方私立高校は、独自の教育方針をカリキュラムに反映しています。成績や目標に応じた細かいコース分けや、大学受験を意識したハイスピードな授業など、それぞれの学校に特徴があります。塾に行かなくても良いほど指導が充実している傾向がありますが、ついていけそうかの見極めも大切です。
進学実績については、まず気にしたいのが指定校推薦枠です。一般的に私立高校は、有名私立大学の推薦枠を多く持っていると言われます。これは大学側が、系列校や歴史的に繋がりの深い私立高校へ、優先的に枠を提供するためです。
一般入試における進学実績は、地域により傾向が異なります。難関大学の合格者ランキングを見ると、首都圏をはじめとする都市部では中高一貫の私立高校が上位を占める一方、地方では地域のトップ公立高校が強さを見せる傾向があります。
私立と公立の違い|校風・行事・生活面

校風や設備、学校行事や部活も、私立と公立で傾向が異なります。それぞれ簡単に比べていきましょう。
校則・制服
私立高校は、服装や持ち物、アルバイトなどに関する規則が厳しい傾向にあります。制服は、学校の個性を表すデザイン性の高いものを採用していることが多いです。
一方、公立高校は比較的自由な校風の場合が多いです。制服は伝統的でシンプルなデザインが中心ですが、近年は生徒の意見を取り入れて見直す動きも活発です。
設備面
私立高校は、資金力を活かして施設・設備が充実している傾向があります。情報機器が完備された教室や人工芝のグラウンド、カフェテリア(食堂)、トレーニングジムなど、学習や部活動に打ち込める環境が整っているのが魅力です。
公立高校の設備は、自治体の予算によって差があります。しかし近年では、校舎の建て替えや改修が進み、快適な環境になっている学校も増えています。
学校行事
学校行事における目立った違いは、修学旅行の行き先です。公立は国内が主流ですが、私立では海外へ行く学校も珍しくありません。その他、私立では学校のルーツに根差した行事や、系列大学での体験授業、国際交流など、特色ある体験ができるのも魅力です。
文化祭や体育祭は、私立も公立も多くの学校で行われますが、私立のほうが規模が大きい傾向があります。
部活動
私立高校では、特定のスポーツで全国レベルの実績を持つ「強化部」があったり、ゴルフ部や馬術部といった珍しい部活動があったりします。公立高校は、地域に根差した部活動があったり、生徒が主体となって活動しているケースも多いのが特徴です。
私立高校のメリットと向いている人

違いを知っただけでは、誰に向いているのかイメージしづらいところもあるでしょう。ここではまず、私立のメリットと向いている人を整理します。
私立高校のメリット
私立高校の大きなメリットは、手厚い大学受験対策です。難関大学を目指す特進コースの設置や、充実した個別指導など、塾なしで合格を目指せる環境が整っている学校も少なくありません。
また、一貫した教育方針のもとで学べる点も魅力です。私立高校では、学校独自の理念に基づき、独自の教育が安定して提供されます。国際教育や理数教育など、分野に特化した質の高い授業を受けられるのも、私立ならではのメリットと言えるでしょう。
さらに、充実した施設・設備も強みです。学習面でも生活面でも快適な環境が整っているほか、部活動においても、専門的なトレーニングができる施設が備えられていることが多いです。
私立高校が向いている人
私立高校が向いているのは、まず大学受験をしっかりサポートしてほしい人、あるいはサポートに食らいついていける人です。塾や予備校に頼らず難関大学を目指したいと考えているなら、私立高校の手厚い支援は大きな力になるでしょう。
次に、高校の段階から専門的に学びたい分野がある人にも向いています。「国際コース」で語学を極めたい、「サイエンスコース」で理系の探究を深めたいなど、はっきりした目標がある場合、その分野に特化した私立高校は理想的です。
また、一つの部活動に打ち込み、高いレベルを目指したい人にもぴったりです。専門的な指導者やトレーニング方法、プロが使用するような設備機器など、充実した環境は競技力の向上に直結します。
最後に、高校生活を通じてさまざまな経験をしたい人にも、私立高校は魅力的な選択肢です。海外への修学旅行や独自の語学研修、建学の精神に基づいた文化的な行事など、私立ならではの活動を通じて視野を広げたい人にはおすすめです。
公立高校のメリットと向いている人

ここでは公立のメリットと向いている人を、整理して紹介します。
公立高校のメリット
公立高校の大きなメリットは、学費の安さです。私立高校に比べて授業料が大幅に抑えられており、3年間の学習費総額では150万円以上の差が出ることもあります。受験料や施設設備費も、私立より安価です。
次に、自由度の高い校風もメリットの一つです。校則が比較的緩やかで、生徒の自主性に任せる部分が大きい学校が多く見られます。生徒主体で企画・運営される学校行事も多いため、のびのびとした雰囲気のなかで高校生活を送れるでしょう。
また、生徒の多様性が大きい点も公立高校ならではの特徴です。公立高校には、学区内のさまざまな中学校から、多様な個性やバックグラウンドを持つ生徒が集まります。異なる価値観や考え方を持つ友人と出会うことで、人間関係を通じて視野を広げ、社会性を育んでいけるでしょう。
公立高校が向いている人
公立高校が向いている人は、まず学費を抑えたい人、あるいは教育費を計画的に使いたい人です。家計の負担が軽くなるのはもちろん、塾や予備校を柔軟に選んだり、習い事や資格取得にお金をかけたりと、教育費全体の自由度が高まります。
校則に縛られず、自由な雰囲気のなかで高校生活を送りたい人にも公立高校は向いています。個性を大切にしながら、自主性を重んじる環境で学校生活を楽しみたいと考える人には良い環境と言えるでしょう。
さらに、さまざまな背景を持つ人たちと交流したい人にもおすすめです。多様な友人との関わりをとおして新しい価値観に触れ、コミュニケーション能力を磨きたいと考えているなら、公立高校での出会いは貴重な財産になります。
最後に、こうした自由な環境でも主体性を持って自分で学習を進められる人です。手厚いサポートがある私立とは対照的に、公立では自分で計画を立てて勉強する姿勢が求められます。
私立と公立の違いに地域差はある?

私立高校と公立高校の違いは、地域ごとの傾向が大きく異なります。特に学力面で違いが見られます。
首都圏や関西圏などの都市部では、難関大学への進学実績において「私立優位」の傾向が顕著です。特に中学受験を経て入学する中高一貫校が、合格実績の上位を占めています。
対して地方では、古くからの伝統を持つ地域のトップ公立高校が高い進学実績を維持しているケースが少なくありません。「〇〇高校なら間違いない」との価値観が根強く、私立高校は公立の併願先として選ばれる傾向にあります。
ただし近年では、地方でも特色ある私立が台頭するといった変化も見られます。ご自身の地域の受験事情をしっかりリサーチすることが大切です。
私立と公立の違いについてよくある質問
ここでは高校選びでよく寄せられる疑問にお答えします。私立と公立で迷った時の参考にしてください。
私立と公立の違いを簡単に教えてほしい
ひとことで言うと、運営者が違います。公立高校は自治体、私立高校は学校法人が設置・運営しています。この違いが、学費、教育方針、カリキュラム、施設といったあらゆることに関わってきます。
ただし、近年は特色ある教育を打ち出す公立高校も増えており、「公立だからこう」「私立だからこう」とひとくくりにはできません。最終的には、学校ごとの特徴をしっかり比較することが大切です。
私立と公立はどっちが難しい?
入学試験の難しさは、一概には比較できません。公立は内申点を含めた総合力を、私立は当日の学力試験を重視する傾向にあり、評価の方法が異なるためです。何を「難しい」と感じるかは、得意な科目や中学校での成績によって変わります。
偏差値で見た場合、都市部では難関の私立高校、地方では地域のトップ公立高校が難しい傾向にあります。学力や特性に合った学校を選ぶことが重要です。
私立と公立はどっちが楽しい?
どちらが「楽しい」と感じるかは、学校との相性次第です。自由な校風でのびのび過ごしたいなら公立、手厚いサポートのもとで目標に打ち込みたいなら私立が「楽しい」と感じるかもしれませんが、あくまで一般的な傾向です。
私立にも自由な学校はありますし、面倒見の良い公立もあります。ぜひ学校説明会や文化祭に足を運び、自分の目で雰囲気を確認しましょう。「ここなら楽しそう」という直感は、案外当たるものです。
自分たちに“合う”選択をするために違いを知っておこう
今回は私立高校と公立高校の違いを、費用やカリキュラム、学校生活などさまざまな観点から比較しました。手厚いサポート体制が魅力の私立、自由な校風と学費の安さが魅力の公立、それぞれに良さがあります。
しかし、最も大切なのは「どちらが良いか」ではなく「どちらが合っているか」という視点です。この記事で紹介したのは一般的な傾向であり、実際には地域差や学校ごとの差も大きいものです。気になる高校があれば、文化祭や学校説明会などに足を運び、ぜひご自身の目で確かめてみてください。
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