大学受験で面接があるのかどうかは、受験生や保護者にとって気になるポイントです。
一般入試では面接を実施している大学は一部に限られますが、医学部・教育学部・芸術系の学部では、面接を課すケースが多く見られます。
また、推薦入試や総合型選抜では、多くの大学で面接が実施されており、重要な選考要素となっています。
筆記試験とは異なり、面接は緊張や不安を感じやすいものですが、しっかりと対策をすれば、自分の意欲や人柄を伝えるチャンスにもなります。
このコラムでは、面接の準備や当日の心構えなどを、受験生と保護者の皆さんに向けてわかりやすく解説します。事前に備えておくことで、自信を持って面接に臨み、志望校合格への一歩を踏み出しましょう。
大学受験で面接が実施されるケースとは?

大学入試において面接が行われるのは、主に以下のような入試形態です。
・総合型選抜(旧AO入試)
志望理由や将来の展望などを重視
・学校推薦型選抜
高校での成績や活動実績を踏まえた人物評価
・特別選抜
スポーツや芸術分野での実績者向けの入試
・国公立大学の二次試験
一部の学部・学科で実施
・私立大学の一般入試
医学部や看護学部など一部の学部で実施
特に総合型選抜や学校推薦型選抜では、面接の結果が合否を大きく左右することが多いため、十分な対策が必要です。
大学受験「面接形式の種類」
面接の形式は大学や学部によってさまざまです。
・個人面接
受験生1人に対して面接官が1〜3人
・集団面接
複数の受験生が同時に面接を受ける形式
・グループディスカッション
与えられたテーマについて受験生同士で議論する
・プレゼンテーション型
自分の考えや研究計画を発表する
・オンライン面接
遠隔での面接形式
事前に志望校の面接形式を確認し、それぞれの特性に合わせた準備をすることが大切です。
では、面接官は実際に何を見ているのでしょうか?評価のポイントについて解説します。
大学受験の面接における評価ポイントは

面接官は以下のような観点から受験生を評価しています。
・志望動機の明確さと具体性
なぜその大学・学部なのか
・学問への関心と意欲
入学後に何を学びたいのか
・論理的思考力
質問に対して筋道立てて答えられるか
・コミュニケーション能力
自分の考えをわかりやすく伝えられるか
・誠実さと人間性
受け答えの態度や表情から伝わる人柄
・将来展望の具体性
大学での学びをどう活かしたいのか
スポーツや芸術の特別推薦入試の場合は、競技実績や芸術活動の成果に加えて、「大学でその活動をどう続けていくか」「学業との両立についての考え」などが問われます。
一般的な推薦入試では、高校での学業成績や活動と大学での学びの関係性が重視されるケースが多いです。
面接では単に「正解」を言うことよりも、自分の考えや経験を誠実に伝えることが大切です。続いて、実際によく聞かれる質問とその回答例を紹介します。
大学入試の面接でよく聞かれる質問と回答のコツ
大学受験の面接でよくある質問パターン
面接でよく聞かれる質問には以下のようなものがあります。
- 志望動機:なぜ本学(学部・学科)を志望したのですか?
- 自己PR:あなたの強みや特徴を教えてください
- 学習意欲:入学後、どのようなことを学びたいですか?
- 将来の目標:卒業後はどのような進路を考えていますか?
- 高校での活動:部活動や委員会活動で学んだことは?
- 時事問題:最近のニュースで関心を持ったことは?
- 逆質問:本学について何か質問はありますか?
面接時における回答のコツ
質問に対して効果的に答えるためのポイントを紹介します。
具体性を持たせる
「将来は心理カウンセラーになりたいと考えています。そのために貴学の心理学科で臨床心理学を専門的に学びたいです」など、抽象的な表現を避け、具体的な内容を伝えましょう。
エピソードを交える
「高校の文化祭実行委員長を務めた経験から、チームをまとめる難しさと達成感を学びました」など、自分の経験に基づいた話をすると説得力が増します。
大学の特色と結びつける
「貴学の〇〇教授の研究に関心があり、△△の分野を深く学びたいと考えています」など、志望校の特色と自分の学びたいことを結びつけると印象に残ります。
短く簡潔に
長々と話すのではなく、要点を絞って伝えることが大切です。基本的に1つの質問に対して1〜2分で答えられるようにしましょう。
大学受験面接のNG回答例と改善案
NG例:「この大学を選んだのは、偏差値が自分に合っていたからです」
改善案:「貴学の環境工学科では実践的なフィールドワークを重視されていると知り、実際に環境問題に取り組む力を身につけたいと考え志望しました」
NG例:「特に将来の夢はまだ決まっていません」
改善案:「現時点では複数の選択肢を考えていますが、特に興味があるのは国際協力の分野です。大学で語学力と専門知識を身につけ、将来はNGOでの活動や国際機関での勤務を視野に入れています」
面接の回答をどう締める?「以上です」はダメ?

面接で回答の最後に『以上です』と締めくくることについては、賛否が分かれるところです。
状況によっては「以上です」が効果的なこともありますが、一般的には「以上です」を連発するとあまり良い印象を与えません。
「学生時代に努力したことを3つ」といったような質問で回答が複数になった時は、「以上です」とまとめると伝わりやすいです。あるいは、質問に対して回答がどんどん長くなっていく、長くなってしまった時には、「以上です」と、区切る意味で使うとよいでしょう。
一方で、質問のたびに回答の最後に「以上です」を使うと、少し違和感があります。
また言い方によってはきつく聞こえますから、「〜をがんばりました」「〜と考えております」といったようなフレーズでひと息つけば、面接官は話が終わったと理解してくれます。
「以上です」は使ってはいけないフレーズではありません。変に意識しすぎず、目上の人と話す機会を多く持って、日頃の会話から慣れておきましょう。
大学受験の面接で好印象を与えるための4つのポイント
大学受験の面接対策のポイントを4つにまとめました。
- 第一印象を良くする「服装とマナー」
- 話し方
- 質問への回答準備
- 面接直前の心構え
第一印象を良くするためのポイント「服装とマナー」
面接官との最初の数十秒で、印象の多くが決まると言われています。第一印象が悪くても、コミュニケーションを十分にとれる間柄や、時間があれば挽回できます。
しかし面接の多くは10分〜15分、長くても20分です。当然ながら、面接官とは初対面で、何度も会って話ができるわけでもありません。
だからこそ、室内に入った瞬間に与える『最初の印象』は大切なのです。
服装
清潔感のあるスーツやブラウス、シャツなどフォーマルな服装を心がけましょう。派手なアクセサリーは避け、髪型も整えておきましょう。
男子
▶制服着用(高校の制服があるなら、それを着用するのが基本)
▶制服がない・私服指定の場合
- ブレザー、シャツ、ネクタイ(ネクタイは必須ではありません)
- チノパンやスラックス
- スーツ
▶靴は革靴、ローファーが無難
女子
▶制服着用(ブラウスのボタンはしっかり留めて丁寧な着こなしを意識)
▶制服がない・私服指定の場合
- ブラウスやシャツにスカートまたはスラックス+ジャケット
- スーツ
▶ベージュ、ネイビー、グレーなど落ち着いた色
▶靴はパンプスやローファー
▶髪の毛はまとめる、顔にかからないように整える
入室の作法
ノックをして「失礼します」と挨拶し、丁寧に椅子に座ります。背筋を伸ばし、姿勢よく座ることで誠実さや真剣さが伝わります。
清潔感のある身だしなみと丁寧な態度は、人間性や社会性を示す重要な要素です。面接官は「この学生は大学生活を送る上で社会的なマナーを理解しているか」という観点からも評価しています。
話し方のポイント
面接での話し方は内容だけでなく、伝え方も重要です。
ゆっくり、はっきりと
緊張すると早口になりがちですが、意識してゆっくり話すことで落ち着いた印象を与えられます。
目線を合わせる
視線を泳がせず、面接官と適度に目を合わせながら話すことで、自信と誠実さが伝わります。
沈黙を恐れない
質問に対してすぐに答えられなくても焦らず、「少し考えさせてください」と伝えてから答えるほうが、誠実な印象を与えます。
話し方の練習として、自分の回答を録音・録画してみるのも効果的です。客観的に自分の話し方の癖や改善点を見つけることができます。
質問への回答準備
(1)予想される質問リストを作成し、それぞれに対する回答を準備しておきましょう。ただし、丸暗記ではなく、要点を押さえる程度にします。
(2)自分の経験や考えを整理し、短いエピソードとして話せるように準備しておくと、具体的で説得力のある回答ができます。
(3)「最近の社会問題について」など、時事問題に関する質問にも答えられるよう、ニュースに関心を持っておくことも大切です。
面接直前の心構え
深呼吸でリラックス
面接直前は緊張するものですが、深呼吸を数回行うことでリラックスできます。
ポジティブなイメージ
「うまく話せるか不安」ではなく「自分の思いを伝えるチャンス」と前向きに捉えましょう。
何より大切なのは、自分らしさを素直に表現することです。面接官は「完璧な受験生」ではなく、魅力ある「人間」を見たいと思っています。
次では、保護者の皆さんができるサポートについてお伝えします。
保護者ができる面接サポート

保護者の皆さんは、受験生の大きな支えになります。家庭でできるサポートには以下のようなものがあります。
面接時の回答を聞いて感想を伝える
客観的な視点の提供
予想される質問リストを作成し、実際に質問して答えてもらいましょう。良い点を先に伝えてから改善点を指摘すると効果的です。
「もう少し具体的に話すといいかも」「この部分は特に印象的だった」など、第三者の視点からの感想を伝えるといいですね。「何を言いたいのか伝わらないよ」「全然わからない」などと否定的にならないように気をつけましょう!

親と模擬面接をするのは、難しいと思います。
この質問にはどう答えるのかを話してもらう、くらいのイメージでいいかもしれません。
塾や予備校の先生、あるいは家庭教師などに、志望校で面接があることを伝えれば本番さながらの模擬面接を行ってくれるので、相談してみましょう。
心の支えになる声かけ
結果だけでなくプロセスを認める
「合格するかどうか」ではなく、「準備をしっかりしている姿勢」を評価する言葉をかけましょう。「絶対に合格しなければ」という言葉よりも、「ベストを尽くせば結果はついてくる」という姿勢で接すると、受験生の心の負担が軽くなります。
高校3年生ともなれば、もはや「成人」です。親としては、小さな頃のイメージがありますが、大人同士の会話だと意識して、大学受験や面接について、いろいろと話を聞いてあげたいですね。人生の先輩として(たとえ大昔の話だとしても!)、大学受験でなくても就活時の面接の体験談などを話してあげてみるのもよいのではないでしょうか。
面接前日や当日のフォロー
体調管理のサポート
十分な睡眠と栄養のある食事を心がけ、体調を整えるようにしましょう。
持ち物の確認
受験票や筆記用具など、必要なものを前日に一緒に確認しておくと安心です。
会場までの送迎
天候やアクシデントによって交通機関の乱れも予想されます。予期せぬ事態に子どもは「遅れてしまう!」とパニックになることも。あらかじめ別ルートを調べておく、車での送迎方法などを考えおき、親は落ち着いて対応しましょう。
面接当日は、「頑張ってきてね」「あなたならできる」など、シンプルな励ましの言葉が効果的です。複雑なアドバイスは逆に混乱の原因になることもあります。

大学受験では、もう親があまり関わることもないと思われるかもしれません。
確かに中学受験や高校受験と比べたら、親がアレコレ世話を焼く面は減ります。
でも、食事や睡眠に気を配り、少し距離をとって子どもの様子を見守ることは必要です。
保護者の皆さんの支えがあることで、受験生は自信を持って面接に臨むことができます。最後に、これまでのポイントをまとめてみましょう。
まとめ
大学受験の面接は、形式や評価ポイントを理解し、よくある質問への回答を準備しておくことで、自信を持って臨むことができます。
ポイントをおさらいしましょう。
- 志望校の面接形式を事前に調べ、それに合わせた準備をする
- 志望動機や将来の展望を具体的に伝えられるようにする
- 第一印象を良くするため、身だしなみと態度に気を配る
- 緊張しても自分のペースで話す練習をする
- 保護者は受験生の支えとなり、プロセスを認める言葉をかける
大切なのは、「完璧な受験生」を演じようとせず、自分の言葉で誠実に思いを伝えることです。たとえ模範的な回答が出てこなくても、言葉が詰まったとしても、いったん落ち着いて素直に話せば大丈夫。自分らしさを大切に、自信を持って面接に臨んでください。
保護者の皆さん、受験生の皆さん、面接は確かに緊張するものですが、適切な準備と心構えがあれば、むしろ自分の魅力をアピールできるチャンスです!
編集:オンライン家庭教師GIPS
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