高校受験の勉強時間は、学年や志望校のレベルによって異なりますが、中学3年生の受験期では平日3〜4時間、休日5〜8時間が目安です。
しかし実際のところは、中学生を持つ親に聞くと(もちろん、まちまちですが)、中1〜中2の秋くらいまでは「1時間程度」という回答が多く、全国学力・学習状況調査(国立教育政策研究所)のデータでも、中学生の平均勉強時間は1~2時間がもっとも多くなっています。
ただし、単に長時間勉強すれば合格できるわけではなく、集中力を保ちながら質の高い学習を継続することが重要です。
今回は、中学生の皆さん、そして高校受験生のお子さんがいる保護者の方々に、効果的な勉強時間の確保方法と、ご家庭でできるサポートについてご紹介します。
中学生の平均勉強時間は?
最初に令和6年度の全国学力・学習状況調査(国立教育政策研究所)のデータを見てみましょう。中学生が学校の授業以外にどれくらい勉強しているか(平日)の調査結果です。
中学生の平均勉強時間(平日)

※令和6年度の全国学力・学習状況調査(国立教育政策研究所)をもとに作成
もちろん中1と中3では勉強時間は大きく異なります。また、目標とする志望校などによっても変わるでしょう。しかし、中学生の勉強時間は、1~2時間がもっとも多いことがわかります。
つまり、中1では30分〜1時間程度が多く、それから勉強時間が増えていき、高校受験前には2〜3時間が一般的と考えてもよさそうです。
高校受験生の勉強時間の目安とレベル別アドバイス
中学生の学年別の理想的な勉強時間は、以下のような目安があります。
- 中学1・2年生:平日1〜2時間/休日3時間程度
- 中学3年生(受験期):平日3〜4時間/休日5〜8時間程度
これは一般的な目安であり、学力や志望校のレベルによって調整が必要です。
高校受験|志望校レベル別の勉強時間目安
トップ校をめざす場合の勉強時間目安
- 中学1・2年生:平日2〜3時間/休日4〜5時間
- 中学3年生(受験期):平日4〜5時間/休日6〜8時間
中堅校をめざす場合の勉強時間目安
- 中学1・2年生:平日1〜2時間/休日2〜3時間
- 中学3年生(受験期):平日2〜3時間/休日4〜6時間
文部科学省の全国学力・学習状況調査によると、成績上位層の生徒は家庭学習の時間が長い傾向にあります。しかし、勉強時間が短くても効率的に学習できれば十分な成果を上げることも可能です。

ずっと部屋で勉強していて、頑張っているなと思ってのぞいたら、スマホをいじっていた……なんて、ありがちですけども(涙)
いくら長時間、机の前に陣取っていても、目的と目標に合わせた勉強をしていないと、結果がついてこないのが現実。
高校受験の勉強時間は目安であって絶対ではありません。では、次に限られた時間を最大限に活用するための工夫と、保護者の方ができるサポートについてご紹介します。
高校入試に備えて勉強時間を確保する工夫と親のサポート

生活リズムを整えることの重要性
勉強時間を確保するうえで大切なのが、規則正しい生活習慣です。
- 毎日同じ時間に起床・就寝する
- 栄養バランスの取れた食事を規則正しく摂る
- 適度な運動を取り入れる
脳が最も活性化するのは起床後2〜3時間と言われています。朝の時間を有効活用することで、効率よく学習を進めることができます。また、十分な睡眠時間を確保することで、学習内容の定着率が高まることも研究で明らかになっています。

当たり前のことのようですが、実はこれがなかなか実践できないもの。
毎朝、怒鳴りつつ子どもを起こすなんていうのもよくありますよね。で
も、受験の山場を乗り越えるには健康的な生活があってこそ、です。
お母さん・お父さん達もがんばりましょう!
勉強習慣をつけるための工夫
- 毎日の勉強開始時間を決める
- 勉強する場所を固定する
- スマートフォンなどの誘惑を遠ざける
- 週間・月間の学習計画表を作成する
習慣化のコツは、「同じ時間に」「同じ場所で」「同じように始める」ことです。最初は15分から始めて徐々に時間を延ばしていくアプローチも効果的です。中学生にもなれば、なかなかスマホを取り上げるわけにもいきませんが、せめて勉強時間は別の部屋においておくとか、電源を切るなど、子ども自身が意識的に行えるといいですね。
高校受験では保護者は子どもと適度な距離感を保つ

中学生は、いわゆる思春期であり、小学生の頃とは違う成長を見せる時期。親としては、ついつい小学生だった頃のイメージで、あれこれと世話を焼き、口をはさみがちです。もちろん、依然として親の助言は必要ですし、見守りも大事です。でも、成長していることを認めて、適度な距離感を保つのも必要です。

よく中学時代は難しい、反抗期と言われるけど、だいたい中3になると落ち着いてきますよ。
やはり周りもみんな受験態勢に入っていくので、自然と意識も変わってくるようです。
さぁ、では具体的に「どうしたら効率よく、質の高い勉強時間を確保できるか」を次で紹介しますね。
高校受験の勉強は「時間」よりも「質と集中力と分散学習」が重要
効率的な学習のためのポイント
単に長時間机に向かうことが良い勉強とは限りません。むしろ、集中力が続く時間内で質の高い学習を行うことが重要です。
- 集中できる時間を見極める(多くの中学生は30〜45分が限界)
- 勉強内容に優先順位をつける
- 理解度に応じて学習方法を変える
- 学習した内容をアウトプットする機会を作る
効率的な学習を実現するには、まず集中力が続く時間(多くは30〜45分程度)を把握し、その時間内で取り組むことが大切です。
また、テスト範囲や苦手分野など優先度の高い内容から取り組み、「暗記が必要な内容」と「考え方を理解すべき内容」で学習方法を使い分けましょう。
さらに、学習内容を人に説明したり問題を作ったりするアウトプット活動を取り入れてみましょう。学んだことを相手に伝えるには、理解していないとできません。勉強時間と意識するよりも、夕飯後に親に解いた数学の問題について解説する、朝食の時に覚えた歴史の内容を簡単にまとめて話してみる、こんな10分程度の積み重ねが学習の定着にしっかりつながります。
集中力を保つための具体的な方法
- 「ポモドーロ・テクニック」25分勉強して5分休憩のサイクルを繰り返す
- 「1時間勉強したら10分休憩」のリズムを作る
- 勉強の合間に軽い運動やストレッチを取り入れる
- 科目を交互に切り替えて飽きを防ぐ
- 学習目標を小さく区切り、達成感を味わう
集中力を持続させるには、計画的な休憩と勉強のリズム作りが効果的。「ポモドーロ・テクニック」は25分勉強して5分休憩するシンプルな方法で、集中力が続きやすい時間に合わせたサイクルを作ります。ま
た、休憩時間には軽い運動やストレッチを取り入れることで脳の血流が改善され、リフレッシュ効果が高まります。英語と数学など異なる科目を交互に学習し、飽きないようにしてみるのもいいですね。
「今日は英単語を20個覚える」など、具体的で達成可能な小さな目標を設定することで、達成感を積み重ね、モチベーションを維持することができます。
分散学習で「しっかり覚えて、よく理解し、長く忘れない」をめざす

分散学習とは、学習内容を一度に詰め込むのではなく、適度な間隔を空けて繰り返し学ぶ方法です。2025年に科学雑誌『Communications Biology』で発表された研究でも、この方法が「しっかり覚えて、よく理解し、長く忘れない」効果があることが確認されています。
たとえば英単語を覚える場合、一日で100語を詰め込むよりも、3日間で30語ずつ学び、さらに定期的に復習する方が脳にとって効率的です。4日目にまた、1日目に行った英単語を復習する、5日目には1日目と2日目の単語を繰り返すといった感じです。具体的には、こうした「反復練習」を、たとえば朝食前の20分で行うとか、夕飯後の15分と区切って行うと、「長時間勉強」よりも負担も軽く感じつつ、記憶が定着しやすいので、おすすめです。
効果的な学習のためにはポモドーロ・テクニックなどの時間管理法と分散学習を組み合わせ、「短時間で集中し、適度に繰り返す」リズムを作ることが大切です。ダラダラと長時間勉強するよりも、メリハリをつけた学習スタイルをめざしましょう!
参考:Time-dependent consolidation mechanisms of durable memory in spaced learning/communications biology
高校受験では勉強時間の効率を高めるためのサポートも検討
塾と自習だけでは解決できない問題や疑問が生じた場合、適切なサポートを受けることで学習効率が大幅に向上します。
- 家庭教師の活用:個別に弱点を克服できる
- オンライン学習サービスの利用:自分のペースで学べる
- 学習塾での質問時間の有効活用:理解できなかった部分を質問する習慣をつける
特に家庭教師の活用は、お子さんの学習スタイルや性格に合わせた指導が受けられるため、限られた時間で効率的に弱点を克服できるメリットがあります。「わからない」をそのままにせず、すぐに解決できる環境を整えることで、学習のつまずきを最小限に抑えられます。
勉強時間の確保は大切ですが、その時間をいかに効率的に使うかがさらに重要です。質の高い学習時間を実現するためには、お子さんの学習状況に合わせた適切なサポートを検討してみてはいかがでしょうか。
体験談|こうして高校受験の勉強時間を確保!

中1から30分でも勉強時間を確保して習慣づけた
息子は野球部に所属していて平日は練習で帰宅が遅かったのですが、中1の時から、帰宅後『22時までに必ず30分は勉強する』というルールを決めました。
たった30分でも、継続して勉強するのが大事だと思ったからです。
モノで釣るのはよくないのでしょうが、『毎日勉強を続けなかったら、スパイクは買わない』みたいに、夢中になっている野球の道具をちらつかせて、けっこう最初の方は無理やり、やらせた感じですね。
やり方の良し悪しはともかく、この習慣が身につき、部活を引退した後は、それこそ平日も3時間程度は勉強していました。
小学校のうちに学習習慣をつけておくべきだったのですが、とにかくなるべく早いうちから、毎日かならず勉強する習慣をつけておくのが大事だと思います。
Aさん(子ども・高1)
周りも受験態勢に入ると自然と勉強時間も増えていく
娘は朝型だったので、毎朝5時30分に起きて1時間勉強してから登校するスタイルにしました。
夜は疲れていることが多かったので、夕食後は軽い復習程度にとどめ、早めに就寝。
この程度の勉強時間で大丈夫かなと不安はあったのですが、中3にもなると周りの友だちも、塾の回数を一気に増やしたり、勉強時間も長くなったりして、自然と『自分もやらないとまずい』と思ったみたいです。
中2終わりから塾に通いはじめ、模試を受けた結果を見て、かなりリアルに受験を意識するようになり、勉強時間も増えました。
うちは中3の6月くらいに受けたのですが、中2でも模試を受けさせておけば、より早く受験体制に入れたかも、と後から思いました。
Hさん(子ども・高2)
中3の夏休みの勉強時間は8時間!
中3の夏休みが一番すごかったかも。
塾も入れて8時間以上勉強していました。
でも、みんな受験勉強に集中してくる時期なので、頑張った割には模試の結果も伸び悩み、本人もかなり落ち込んでしまい……。
人気の公立高校が第一希望で、塾も対応したコースを選んでいましたが、とにかく英語が苦手で足をひっぱっていました。
長時間勉強をしても、苦手科目を克服しないと結果が伴わないと思い、9月からは個別指導を利用して、短期集中で英語対策をしました。
塾に行く回数とか勉強時間というよりも、得意な教科を効率的に伸ばし、不得意科目は集中してつぶしていく。
高校受験は、きちんと目的に向けてカリキュラムやプランをたてることが重要だなと感じました。
Iさん(子ども・高1)
まとめ
高校受験の勉強時間は量も大事ですが、質と集中力、そして繰り返し学習が鍵となります。学年や目標校に合わせて柔軟に調整し、無理なく続けられる環境を整えることが成功への近道です。
時に焦りを感じることもあるかもしれませんが、「今日より明日、明日より明後日」と少しずつ成長していく姿勢を大切にしましょう。
勉強時間の確保に苦労するのは多くのご家庭で共通の悩みです。完璧を目指すのではなく、できることから少しずつ改善していけるといいですね。皆さんの高校受験、応援しています!
編集:オンライン家庭教師GIPS
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