今回は、勉強を続けるためのコツを紹介します。私が普段、教える生徒でも勉強を続けられない生徒がいます。理由は、「やる気が出ない」「ゲームをしてしまう」「兄弟と遊んでしまう」など、様々です。
しかし、これまで勉強が続かなかった人も、自信をなくす必要はありません。勉強を続けるのに大切なのは気合や根性ではなく、「続けるための仕組みづくり」だからです。自分に合った仕組みを作り、ルーティーンとして勉強することが大切なのです。
この記事では、その具体的な方法を解説していきます。
勉強が「つづく人」の特性
一般的に勉強を続けられる人には、以下のような特徴があります。
- 競争心がある
- 負けず嫌い
- 将来の夢がある
- 自分に自信がある
- 人に評価されたい
しかし、こうした特性をもっていなくても大丈夫です。
勉強をつづけるために必要なのは、生まれつき備わった能力ではなく、続けるための「仕組み」を作ることだからです。やる気や集中力は、勉強をつづけることで自然と身についていきます。
勉強が「つづく」メカニズム
勉強が推奨される環境で過ごす
人は環境に依存しやすい特性があります。勉強に対して前向きである環境に身を置けば、自ずと勉強の必要性や意識が高まります。
家族と過ごす時間の長い小中学生にとっては、自宅がそうした環境であることが望ましいです。お風呂に世界地図が張って合ったり、本棚に学習まんがが陳列されていたり、普段の会話の中で、勉強の話題(雑学や将来の夢など)をしていれば、子どもの勉強への意識は自然と高まります。
また、勉強への意識が高い友人と一緒に勉強することも有効です。これは「ピア効果」と言い、心理学でも言われている効果です。具体的には、塾や図書館などで勉強することで、一人の勉強よりも集中できるのはこのピア効果が働くからです。
※補足:ピア効果
意識や能力の高い集団の中に身を置くことで、切磋琢磨し、お互いを高め合う効果のこと。勉強では、意識が高く頭の良い友人と一緒に行うことで、学習効率が高まるとされています。
できる経験をたくさん積む
勉強をつづけられる人は、「できる→楽しい」ということを知っています。今まで分からなった数学の問題が解けるときは、曇っていた空が一瞬に晴れたようなものです。また、平均点以下だったテストで80点を取ったときの喜びは、YouTubeを見るよりも嬉しいものです。
できることが楽しさにつながる
こうした「できる」経験をくり返すことで、勉強を楽しいと感じられるようになり、勉強をすることが当たり前(習慣)となります。さらに、テストで80点以上を取ることも当たり前となっていくのです。
この当たり前(習慣)の状態こそ、勉強をつづけられということなのです。
なぜ勉強をつづけられないの?
勉強の必要性を感じていない
勉強の必要性は、自分の内側から生じなければいけません。親や先生に指図されても、心の底から湧き上がることはありません。
中学受験をする小学生であれば、親の言うことをひたすら取り組むこともあるかもしれませんが、自我が芽生え始める中学生は、自分が必要だと思うこと以外は、本気で取り組まないのが一般的です。
ですから、子ども自身が心の底から「勉強しなければ」と思わない限り、勉強をつづけることはできないのです。
勉強すべきという環境に身を置いていない
人は他人との関わりの中で成長します。それは、他人の価値観に触れ合うことで、自分自身の価値観を築き上げていくということです。
小学生・中学生にとって関わりの多い人は、親や教師、友達です。
特に、親から受ける影響力は高く、親の価値観は等しく子どもにも伝わるものです。
故に、親が「勉強の必要性」を心の底から感じ、日々のコミュニケーションでも伝えている家庭では、子どもにも潜在的に勉強の必要性が備わっているのです。
また、勉強を積極的に行う友人に囲まれている子も、同じように勉強の必要性を感じ、前向きに取り組みます。
人は周りの環境と触れ合うことで、自分の価値観を形作るわけですから、「勉強すべき」という価値観を身につけたければ、そうした環境に身を置くことが大切です。
勉強をつづけるためには「仕組み」が必要
やる気や根性さえあれば、勉強を続けられるのでしょうか。
確かに、意志力がつよい人は、続けることもできるでしょう。
しかし、そうではない多くの人にとっては、やる気や根性よりも、「仕組み」を作って勉強をつづけていくことが大切です。
勉強する環境を整備する
勉強場所を選べる人は、自分に合った勉強場所を見つけると良いです。カフェやマックも◎
家だと集中できない人は、勉強するときは必ず自習室へ行くと決めると良いです。逆に家では、勉強をしない(または音読だけする)と決めると、メリハリがつき良いです。
集中のさまたげとなるゲームやマンガを見える位置におかないことが大切です。そのためには、リビングで勉強したり、思い切って部屋の模様がえをするのも良いです。また、スマホの電源は、オフにして、LINEなどができる環境もなくしましょう。
特に、現在のようにコロナ下での勉強は、自宅での学習が強いられています。ですから、自宅の学習環境を改善していくことが大切です。※私の部屋は、本と服以外は、ほとんど何もありません。
明確な目標を設定する
人は目標がハッキリしていなければ、集中して取り組むことができません。まさにゴールを知らされずに走らされている状態です。これを回避するためには、以下の点に注意して目標を立てましょう。
- 手帳などを用意
- 1日の勉強内容を書く
- ページ数、設定時間を書く
- 終わればチェック
まずは手帳やToDoリストを用意してください。
勉強を始める前に5分~10分ほどで1日に行う勉強内容を全て書きだしましょう。
ここでポイントとなるのが、できるだけ勉強している姿をイメージして、その目標を達成できそうかどうかをよく考えてください。よくある失敗が、目標に無理があることです。1時間では終わらないページ数の目標を立てても、自信をうしなうだけで生産的ではありません。なので、多少時間をかけても大丈夫です。
その目標に沿って勉強ができれば、マーカーやペンなどでチェックしましょう。これで終わりです。
日課の質問をする
1日の目標が終われば、1日の取り組みを自己評価しましょう。
ポイントは、最大限努力できたかを10点満点で評価することです。
- 英単語を50個おぼえる
- 漢字の練習をする
- 数学を2ページすすめる
- 授業の予習,復習をする
- 宿題をする etc
1日の勉強したことを評価することで、自己反省が芽生え、毎日の勉強への取り組みに改善が生まれます。英単語はあまり努力できなかったから、明日は努力しよう。数学は目標の2ページを1時間以内にでき、努力できた。のように、1日ずつ自分と向き合えば、長期的に質の高い学習となります。
できない勉強をリスト化する
1~2週間おこなうと、目標が達成できない、または評価の低い勉強内容が浮かび上がってきます。例えば、数学が目標の半分しか終わらない、英単語が努力できていないなど。そうした勉強がなぜできていないのか原因を考え、必要に応じて勉強方法や目標を修正していきましょう。
数学は、1時間で2ページだったが、2時間で2ページ(朝に1ページ、夜に1ページ)、英単語は、夜にやると努力できないから、学校の休み時間にやるなど。
自分の弱点が分かれば、あとはどうすればできるようになるのかを考え、対策を立てて行けばよいのです。
ぼんやりとした目標を立てて、何となくできなかったとするのではなく、日々の学習を明確にし、どうすればできるようになるのか対策を講じることこそ生産的な学習と言えます。
勉強のコツのまとめ
学校で勉強のやり方を教わることはありません。そんな中でも、しっかりとした勉強をできるいる人たちは、自分なりに模索し、どうすれば自分は勉強をつづけられるのかを考えています。
ですから、むやみに勉強ができないと悲観するのではなく、まずは勉強をつづける仕組みを作り、やる気や根性に頼らずに勉強することが大切なのです。その結果として、勉強へのやる気や根性は自ずと身についていきます。
(参照)
・原田隆司(2019),『目標達成のルール』,日経BPマーケティング
・原田隆司(2017),『目標達成ノート』,日経印刷株式会社
・マーシャル・ゴールドスミス(2016),『トリガー 自分を変えるコーチングの極意』,日本経済新聞出版社